【弁護士の視点】くら寿司「ちいかわ」コラボ中止|従業員が景品を持ち出した場合は窃盗?業務上横領? |福岡で弁護士が刑事事件(示談交渉)をスピード解決

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【弁護士の視点】くら寿司「ちいかわ」コラボ中止|従業員が景品を持ち出した場合は窃盗?業務上横領?

はじめに

くら寿司株式会社は2026年9月5日、開催中の「ちいかわ」コラボキャンペーンについて、同社の従業員による不正行為が判明したとして、9月6日の営業開始時からキャンペーンを中止すると発表しました。

くら寿司は9月2日の段階で、「ビッくらポン!」のコラボグッズについてSNS上で不適切な取り扱いが指摘されているとして、事実関係を調査していました。

SNS上では、キャンペーン景品のフリマサイトへの出品などが話題になっています。しかし、くら寿司は今回の発表でも、不正行為の具体的内容、関与した人数、商品の持ち出しや転売の有無、警察への被害申告などについては明らかにしていません。

したがって、現時点で「従業員が景品を横領した」「窃盗事件になった」と断定することはできません。

本稿では今回の発表をきっかけに、従業員が会社の商品やキャンペーン景品を持ち出した場合、窃盗罪と業務上横領罪のどちらが問題になるのかを解説します。

景品を持ち出した場合は窃盗罪?

従業員が店舗に保管されている景品を無断で持ち出した場合、まず窃盗罪が問題になります。

窃盗罪は、他人が占有している財物を、その意思に反して自分の支配下へ移した場合に成立する犯罪です。

例えば、店舗や店長が管理している景品を、一般の従業員が保管場所から勝手に持ち出した場合には、会社側の占有を侵害したとして窃盗罪が成立する可能性があります。

キャンペーンで顧客へ無料配布する予定の商品であっても、顧客へ交付されるまでは会社が管理する財産です。「無料で配る景品だから価値がない」「いずれ配布されるものだから持ち帰ってもよい」ということにはなりません。

窃盗罪の成立条件や、勤務先の商品を持ち出した場合の刑事責任については、以下のページで解説しています。

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業務上横領罪になる場合もある

一方、従業員がその景品の管理や保管を業務として任されていた場合には、業務上横領罪が問題になる可能性があります。

窃盗罪と業務上横領罪の大きな違いは、持ち出した人物が、その商品を自ら占有・管理する立場にあったかどうかです。

単に景品へ触れる機会があっただけなら、会社や店長の占有下にあるとして窃盗罪が問題になりやすいでしょう。

これに対し、景品の在庫管理、保管、補充などを全面的に任され、自らの判断で取り扱える立場にあった人物が無断で取得した場合には、業務上自己が占有する会社の商品を横領したとして、業務上横領罪が成立する可能性があります。

もっとも、役職名や担当業務だけで機械的に決まるものではありません。保管場所の鍵を誰が管理していたか、景品の出し入れに承認が必要だったか、在庫管理の権限がどこまで与えられていたかなど、実際の管理状況が重要です。

窃盗罪と業務上横領罪の違いや、会社の商品・資金を無断で取得した場合の問題については、以下の記事も参考になります。

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フリマサイトで転売するとどうなる?

仮に会社の商品を無断で持ち出した後、フリマサイトなどで販売した場合、商品の持ち出しに窃盗罪または業務上横領罪が成立する可能性があります。

転売した事実は、商品を自分のものとして処分する意思があったことを示す事情となり得ます。また、出品履歴、購入者とのメッセージ、発送記録、売上金の入金履歴などは、事実関係を確認するための重要な資料になります。

会社の商品を持ち出したことが発覚した場合、自分の判断で出品履歴やメッセージを削除すると、証拠隠滅を疑われ、かえって状況が悪化するおそれがあります。

事実を認める場合には、商品の返還、売却代金の弁償、会社への謝罪や示談を検討することになります。ただし、返還や弁償をすれば犯罪が当然に成立しなくなるわけではありません。

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会社の処分と刑事責任は別問題

くら寿司は、従業員による不正行為が判明したと発表していますが、今回公表された内容だけでは、それが窃盗罪や業務上横領罪に当たるかは判断できません。

会社による懲戒処分と、警察・検察による刑事手続は別のものです。会社が従業員を処分したからといって、直ちに犯罪が成立したことにはなりません。

反対に、会社との間で弁償や退職について合意しても、刑事事件にならないことが保証されるわけではありません。

具体的な刑事責任は、不正行為の内容、景品の管理権限、取得した数量、転売の有無、被害弁償の状況などを踏まえて判断されます。

まとめ

くら寿司は、従業員による不正行為が判明したとして、「ちいかわ」コラボキャンペーンを中止すると発表しました。

もっとも、不正行為の具体的内容や、警察への被害申告の有無などは明らかにされておらず、現時点で窃盗罪や業務上横領罪が成立すると断定することはできません。

一般論として、会社や店舗が占有する商品を従業員が勝手に持ち出せば窃盗罪、業務として自ら管理・占有している商品を取得すれば業務上横領罪が問題になります。

どちらに該当するかは、単に「従業員が会社の商品を持ち出した」というだけではなく、その商品を誰が、どのような権限で管理していたかによって判断されます。

※本記事は2026年9月5日時点で公表されている、くら寿司株式会社の発表及び報道をもとに、刑事法上の一般論を解説したものです。同社が発表した不正行為の具体的内容や、関係者の刑事責任を判断するものではありません。

 

この記事の監修者:弁護士 原 隆(福岡県弁護士会所属。登録番号52401)

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