私たちが示談において、被害者の方に誠実に向き合う理由 |福岡で弁護士が刑事事件(示談交渉)をスピード解

原綜合法律事務所 対応地域/福岡県及び近県(九州及び山口県)
弁護人選任検討の方専用の相談ダイヤル/050-7586-8360/【24時間受付・初回無料(加害者本人と親族のみ)】 メールでのご相談も受付中

私たちが示談において、被害者の方に誠実に向き合う理由

はじめに

刑事事件における示談交渉は、加害者の弁護人として行う活動です。依頼者は加害者側であり、弁護士は依頼者の利益を最大限に守る義務を負っています。不起訴処分の獲得、早期の身柄解放、量刑の軽減——示談交渉の目的は、あくまで依頼者にとって最善の結果を実現することにあります。

しかし、私たちは示談交渉において、依頼者の利益だけを追求すればよいとは考えていません。示談の相手方である被害者の方に対しても、誠実に向き合うことを弁護活動の根幹に据えています。

これは単なる理念の話ではありません。被害者の方に誠実に向き合うことが、結果として依頼者にとっても最善の結果をもたらすと、私たちは数多くの事件を通じて実感しているからです。

本コラムでは、私たちが示談交渉においてどのような姿勢で臨んでいるのか、なぜ被害者の方への誠実さが重要なのかについて、率直にお伝えしたいと思います。

示談交渉は「取引」ではない

被害者の方が抱えているもの

示談交渉の相手方である被害者の方は、犯罪によって深い傷を負った当事者です。身体的な怪我だけではありません。恐怖、怒り、屈辱、不安、日常を奪われたことへの悲しみ——被害者の方が抱える苦しみは、金銭で完全に償えるものではありません。

暴行・傷害事件の被害者の方は、突然の暴力に対する恐怖と怒りを抱えています。詐欺や窃盗の被害者の方は、信頼を裏切られたことへの憤りや、生活基盤を損なわれたことへの不安を感じています。誹謗中傷やリベンジポルノの被害者の方は、人格の根幹を傷つけられた屈辱に苦しんでいます。

私たちは、示談交渉の前提として、被害者の方が置かれているこうした状況を深く理解することから始めます。

示談は被害者の方の同意があって初めて成り立つ

当然のことですが、示談は被害者の方の同意がなければ成立しません。加害者側がいくら示談を望んでも、被害者の方が応じなければ、それまでです。

だからこそ、示談交渉は加害者側の都合を一方的に押し付ける場であってはなりません。被害者の方の気持ちに耳を傾け、何を求めているのかを正確に理解し、その上で加害者としてできる最大限のことを提示する——この姿勢がなければ、示談交渉のテーブルにすらついていただけないケースがほとんどです。

形だけの謝罪は見抜かれる

被害者の方は加害者の本気度を見ている

示談交渉の実務を重ねる中で、私たちが痛感していることがあります。それは、被害者の方は加害者の反省が本物かどうかを極めて鋭く見抜いているということです。

「不起訴にしてほしいから謝っている」「お金で済ませたいだけだ」——こうした印象を被害者の方に与えてしまえば、示談が成立する可能性は大きく低下します。形式的な謝罪文、相場どおりの金額の提示、機械的な交渉の進め方。これらは、被害者の方の処罰感情をかえって強めてしまうことさえあります。

加害者の反省を「翻訳」するのが弁護士の役割

加害者の方の多くは、自分の行為を深く後悔し、被害者の方に心から謝罪したいという気持ちを持っています。しかし、その気持ちを被害者の方に適切に伝えることは容易ではありません。直接の接触が許されない状況では、なおさらです。

私たちの役割は、加害者の方の反省の気持ちを、被害者の方に伝わる形に「翻訳」することだと考えています。謝罪文の作成においては、加害者の方と何度も対話を重ね、なぜその行為が許されないのか、被害者の方にどれほどの苦痛を与えたのかを深く掘り下げます。表面的な定型文ではなく、加害者自身の言葉で綴られた謝罪文だからこそ、被害者の方の心に届く可能性が生まれるのです。

被害者の方の声に耳を傾ける

被害者の方が本当に求めているもの

示談交渉において、被害者の方が求めているものは金銭的な補償だけではありません。私たちが多くの事件で経験してきた中で、被害者の方の声として共通しているのは、以下のような思いです。

「なぜこんなことをされなければならなかったのか、理由を知りたい」。「自分がどれだけ苦しんだか、加害者に理解してほしい」。「二度と同じことを繰り返さないと確信できなければ、許すことはできない」。「謝罪の言葉が本心からのものであると感じたい」。

金銭的な被害弁償はもちろん重要ですが、それだけでは被害者の方の心は動きません。被害者の方が抱える疑問や感情に正面から向き合い、一つひとつ丁寧に応えていくことが、示談成立への道を開くと私たちは考えています。

被害者の方のペースを尊重する

示談交渉には、刑事手続きの期限との兼ね合いから時間的な制約がつきまとうのが現実です。勾留期間中に示談をまとめなければ身柄解放が難しくなる、起訴前に示談を成立させなければ不起訴処分を得られない——こうした切迫した事情があることは事実です。

しかし、だからといって被害者の方に結論を急がせることは、私たちの方針ではありません。被害者の方には、示談に応じるかどうかを熟考する時間が必要です。加害者側の都合で性急に結論を求めれば、被害者の方は「自分の気持ちは無視されている」と感じ、交渉は行き詰まります。

私たちは、被害者の方のペースを尊重しつつ、限られた時間の中で最善の結果を追求するという、難しいバランスの中で交渉を進めています。

誠実な示談が依頼者の利益につながる理由

検察官・裁判官は示談の質を見ている

検察官や裁判官は、単に「示談が成立したかどうか」だけでなく、「どのような内容の示談が成立したか」を注視しています。

被害者の方の真の宥恕(許し)を伴う示談と、金銭の支払いのみで被害者の方の処罰感情が解消されていない示談とでは、処分に与える影響が大きく異なります。宥恕条項を含む示談書、被害届や告訴の取下書、被害者の方からの嘆願書——これらが揃っている場合と、単に「示談金を受け取りました」という合意しかない場合とでは、検察官の判断にも裁判官の量刑にも明確な差が生じます。

つまり、被害者の方に誠実に向き合い、真に納得していただける示談を実現することが、依頼者にとっても最善の結果につながるのです。

示談の質を高めるために私たちがしていること

私たちが示談交渉において心がけていることを、いくつかお伝えします。

まず、被害者の方への最初のご連絡は、細心の注意を払って行います。弁護士からの突然の連絡は、被害者の方にとって大きな負担となり得ます。連絡の方法やタイミングについて慎重に検討し、被害者の方が安心してお話しいただける環境を整えることから始めます。

次に、被害者の方のお話に十分な時間をかけて耳を傾けます。被害の状況、現在の生活への影響、加害者に対する率直な感情——被害者の方が語りたいことをすべて受け止めた上で、加害者側の対応を提案します。

そして、加害者の方に対しては、被害者の方の声をそのまま伝え、自分の行為が相手にどのような影響を与えたのかを深く理解してもらいます。この過程で、加害者の方の反省がより深まり、それが謝罪文や再発防止策の内容にも反映されていきます。

示談が成立しなかった場合にも

被害者の方の処罰感情が非常に強く、どうしても示談に応じていただけないケースもあります。被害者の方が示談を拒否する権利は当然に尊重されるべきであり、私たちはその判断を無理に覆そうとすることはしません。

示談が成立しなかった場合でも、示談交渉の過程で被害者の方に誠実に向き合った事実そのものが、検察官や裁判官に対して加害者の反省の深さを示す材料となります。

おわりに

私たちが被害者の方にも誠実に向き合うのは、それが正しいことだからです。そして同時に、それが依頼者にとっても最善の結果をもたらす道だからです。

刑事事件の示談は、加害者と被害者という対立する立場の間で行われるものですが、その本質は、壊れた関係を少しでも修復し、双方がそれぞれの生活を前に進めるための手続きであると、私たちは考えています。

当事務所では、初回相談無料・365日24時間のお電話で、示談交渉を含む刑事弁護のご相談を受付けております。被害者の方に対しても誠実に向き合う弁護活動をお求めの方は、ぜひ一度ご相談ください。


※本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な事案については、弁護士にご相談ください。

この記事の執筆者弁護士 原 隆(福岡県弁護士会所属 登録番号52401)

原綜合法律事務所(福岡)のご案内

 ★所属弁護士について

 ★弁護士費用について

 ★お問い合わせ方法

刑事事件の弁護人選任を検討されている方の初回相談は無料【24時間受付】弁護士が対応可能な場合はそのまま直通で無料電話相談が可能です

刑事事件はスピードが重要!今すぐ無料相談