起訴猶予と嫌疑不十分の違いとは?不起訴の種類と意味を弁護士が解説 |福岡で弁護士が刑事事件(示談交渉)をスピード解

原綜合法律事務所 対応地域/福岡県及び近県(九州及び山口県)
弁護人選任検討の方専用の相談ダイヤル/050-7586-8360/【24時間受付・初回無料(加害者本人と親族のみ)】 メールでのご相談も受付中

起訴猶予と嫌疑不十分の違いとは?不起訴の種類と意味を弁護士が解説

不起訴処分の種類

検察官が被疑者を起訴しないと判断した場合の処分が不起訴処分です。不起訴処分には、法務省の事件事務規程に基づき、主に以下の種類があります。

起訴猶予

起訴猶予は、犯罪の嫌疑が認められ、起訴して有罪判決を得るだけの証拠も十分にあるものの、さまざまな事情を考慮して検察官が起訴を見送る処分です。

法的根拠は刑事訴訟法第248条であり、同条は「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」と定めています。

起訴猶予は、不起訴処分の中で最も多い類型です。実務上、被害者との示談が成立していること、初犯であること、犯罪の内容が比較的軽微であること、被疑者が深く反省していることなどが、起訴猶予の判断に寄与する主な事情として挙げられます。

嫌疑不十分

嫌疑不十分は、犯罪の嫌疑は認められるものの、起訴して有罪判決を得るだけの十分な証拠が揃っていないと検察官が判断した場合の処分です。

刑事裁判では「合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立証」が求められるため、捜査の結果、この水準の立証が困難と判断された場合に嫌疑不十分となります。犯罪事実の存在自体に疑問がある場合のほか、被疑者が犯人であることの証明が不十分な場合、犯罪の故意の立証が困難な場合なども嫌疑不十分に該当し得ます。

嫌疑なし

嫌疑なしは、捜査の結果、被疑者が犯罪を犯した事実が認められないと判断された場合の処分です。そもそも犯罪事実が存在しない場合や、被疑者が犯人ではないことが明らかになった場合に下されます。

3つの類型の中で最も被疑者にとって有利な処分であり、「疑いそのものが晴れた」という意味合いを持ちます。

その他の不起訴理由

上記のほかにも、被疑者が死亡した場合、親告罪について告訴が取り消された場合、公訴時効が完成した場合、被疑者が刑事未成年(14歳未満)である場合など、法律上の理由により起訴できないケースも不起訴処分に含まれます。

起訴猶予と嫌疑不十分の決定的な違い

犯罪事実の認定

起訴猶予と嫌疑不十分の最も大きな違いは、犯罪事実が認定されているかどうかという点にあります。

起訴猶予の場合、検察官は「この被疑者が犯罪を行ったことは認められる」と判断しています。つまり、犯罪事実は認定された上で、諸事情を考慮して起訴を見送っているのです。

これに対し、嫌疑不十分の場合は、「犯罪を行ったとまでは認定できない」という判断です。証拠が不十分であるために、有罪の立証ができないと検察官が考えた結果の処分です。

不起訴の理由

起訴猶予は、犯罪を立証できるにもかかわらず、被疑者のためにあえて起訴しないという検察官の裁量的判断です。被害者との示談の成立、被疑者の反省、犯罪の軽微さなど、起訴を見送ることを相当とする積極的な事情が認められた結果です。

嫌疑不十分は、起訴しても有罪判決を得る見込みが低いために起訴しないという、証拠面の問題に基づく判断です。被疑者の反省や示談の成否とは基本的に無関係に、証拠の状況によって決まります。

前科・前歴への影響

いずれの不起訴処分であっても、前科はつきません。この点では、起訴猶予も嫌疑不十分も同じ効果を持ちます。また、いずれの場合も前歴(捜査対象となった記録)は残りますが、これは法律上の資格制限の対象とはなりません。

ただし、将来再び刑事事件を起こした場合の扱いには一定の差が生じ得ます。前回の処分が起訴猶予であった場合、「犯罪事実は認定されたが今回は見送った」という経緯があるため、再犯時には「前回の猶予を無駄にした」として、より厳しい処分が下される傾向があります。

弁護活動との関係

起訴猶予を目指す弁護活動

被害者がいる事件で犯罪事実に争いがない場合、弁護活動は起訴猶予の獲得を主な目標とします。検察官の裁量判断に影響を与える事情を積極的に積み上げることが弁護士の役割です。

具体的には、被害者との示談の成立と宥恕の獲得、被害弁償の実施、被疑者の反省の態度を示す資料(反省文、謝罪文等)の作成、再発防止に向けた具体的な取り組みの証拠化、家族や職場による監督体制の整備、検察官に対する不起訴相当の意見書の提出などが挙げられます。

起訴猶予を獲得するためには、検察官が処分を決定する前にこれらの活動を完了させる必要があるため、早期に弁護士に依頼することが極めて重要です。

嫌疑不十分・嫌疑なしを目指す弁護活動

犯罪事実に争いがある場合には、嫌疑不十分・嫌疑なしによる不起訴を目指す弁護活動が中心となります。

嫌疑不十分を目指す場合には、取り調べにおける供述方針が特に重要となります。不用意な供述が自白として扱われれば、嫌疑不十分・嫌疑なしを主張することが困難になるため、弁護士の助言に基づいた慎重な対応が求められます。被疑者と弁護士の接見を通じて、取り調べの対応のサポートが弁護活動の中心となります。さらに、アリバイの証拠探し、真犯人の存在を示す証拠探し、構成要件の不該当を示す法律論の展開などの弁護活動を行う場合もあります。

不起訴処分に関するよくあるご質問

不起訴の理由は教えてもらえるのか

不起訴処分の通知において、不起訴の理由(起訴猶予、嫌疑不十分等の区別)は原則として告知されません。被疑者が検察官に理由を尋ねても、詳細な説明を受けられないケースが多いのが実情です。

ただし、弁護士が代理人として検察官に確認を求めた場合には、不起訴の理由を教えてもらえることが多々あります。不起訴の理由が重要な意味を持つ場合には、弁護士を通じて確認することをお勧めします。

不起訴処分告知書には理由が記載されるか

不起訴処分告知書(刑事訴訟法第259条に基づき被疑者の請求により交付される書面)には、不起訴処分とした旨は記載されますが、不起訴の理由は記載されないのが通常です。

被害者は不起訴に不服を申し立てられるか

被害者は、検察審査会に対して不起訴処分の当否の審査を申し立てることができます。検察審査会が「起訴相当」と議決した場合、検察官は処分を再検討しなければなりません。ただし、検察審査会による起訴議決に至るケースは実務上限定的です。

おわりに

不起訴処分にはさまざまな種類がありますが、いずれの場合も前科がつかないという点では共通しています。刑事事件において不起訴処分を獲得することは、その後の社会生活を守る上で最も重要な目標です。

起訴猶予を目指すのか、嫌疑不十分・嫌疑なしを主張するのか——弁護活動の方向性は事案によって大きく異なりますが、いずれの場合も早期に弁護士に依頼し、適切な弁護方針のもとで活動を進めることが、最善の結果を得るための鍵となります。

当事務所では、初回相談無料・365日24時間のお電話で、不起訴処分の獲得に向けた弁護活動のご相談を受付けております。刑事事件でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。


※本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な事案については、弁護士にご相談ください。

この記事の監修者:弁護士 原 隆(福岡県弁護士会所属 登録番号52401)

原綜合法律事務所(福岡)のご案内

 ★所属弁護士について

 ★弁護士費用について

 ★お問い合わせ方法

刑事事件の弁護人選任を検討されている方の初回相談は無料【24時間受付】弁護士が対応可能な場合はそのまま直通で無料電話相談が可能です

刑事事件はスピードが重要!今すぐ無料相談