不同意性交等事件の示談金の相場はいくらか?示談交渉のメリットなどを解説 |福岡で弁護士が刑事事件(示談交渉)をスピード解

原綜合法律事務所 対応地域/福岡県及び近県(九州及び山口県)
弁護人選任検討の方専用の相談ダイヤル/050-7586-8360/【24時間受付・初回無料(加害者本人と親族のみ)】 メールでのご相談も受付中

不同意性交等事件の示談金の相場はいくらか?示談交渉のメリットなどを解説

はじめに:不同意性交等事件と示談の重要性

不同意性交等事件(旧・強制性交等事件)は、被害者の心身に重大なダメージを与える悪質な犯罪です。被害者は、身体的・精神的なショックだけでなく、周囲に知られることへの恐怖、今後の生活への不安など、深刻な後遺症に悩まされるケースも少なくありません。一方で、加害者にとっても、刑事手続を経れば高い確率で前科がつくリスクがあり、実刑にまで至ると社会復帰が困難になる可能性も出てきます。

こうした状況の中、被害者と加害者の間で示談を成立させることは、双方にとって一定のメリットがあるとされています。示談とは、被害者と加害者の間で、金銭賠償を含めた解決条件を話し合い、合意に至ることを指します。示談が成立すると、刑事手続の段階において処分や量刑に影響が及ぶため、加害者側としては“前科をつけたくない”という切実な思いを実現する重要な手段となりえます。また、被害者側も適切な金銭的補償を受け取ることや、加害者に接近禁止などの誓約をさせることで、一定の安心を得ることができるのです。

不同意性交等罪の成立要件と刑罰

不同意性交等罪とは

2023年の刑法改正により、「強制性交等罪」は「不同意性交等罪」へ名称が改められ、要件の一部も見直しがされました。旧来の強制性交等罪(刑法177条・178条など)と同様、被害者の明確な同意なく行われる性交行為が対象となり、具体的には例えば次のような状況などが該当します。

  • 暴行・脅迫を用いて行われる性交行為
  • 相手が心神喪失や抗拒不能状態であることを利用して行われる性交行為
  • 相手が明確に拒否する意思を示しているにもかかわらず行われる性交行為
  • 酩酊などで正確な判断力を欠いている状況を利用して行われる性交行為

刑罰の概要

不同意性交等罪の法定刑は、「5年以上の拘禁刑」が基本となります。暴行・脅迫が伴う性犯罪として扱われるため、その刑罰は非常に重いことが特徴です。さらに、被害者が未成年の場合や、複数名で行われた場合は、より重い処罰が科される可能性があります。また、場合によっては逮捕や勾留も避けられず、実名報道や社会的制裁が重くのしかかるため、加害者にとっては人生を大きく左右する問題となりえます。

不同意性交等事件の示談金(慰謝料)の相場とは?

不同意性交等事件で示談を成立させる際、もっとも気になるのが「示談金(慰謝料)の相場はいくらか」という点でしょう。実際のところ、性犯罪における示談金は事案によって大きく変動しますが、一般的な目安としては100万円から300万円程度の範囲におさまるケースが多いといわれています。ただし、以下のような要因により、数十万円~数百万円単位の開きが出ることも珍しくありません。

  • 被害態様の悪質性(暴行や脅迫の程度、常習性の有無)
  • 被害者の精神的苦痛の度合い(PTSD発症、通院治療の必要性)
  • 加害者と被害者の社会的立場(公務員・企業幹部・芸能人など)
  • 事件後の加害者の態度や反省の様子

示談金と慰謝料という言葉が混同されることがありますが、刑事事件の場合には被害者が受けた被害全体に対する金銭的補償をまとめて「示談金」と呼ぶことが多いです。その中に、被害者の精神的苦痛に対する「慰謝料」や、治療費などの実費が含まれます。

示談金と慰謝料はどう違うのか?

慰謝料とは

慰謝料は、本来「被害者の精神的・肉体的な苦痛」に対する金銭的な補償を指します。不同意性交等事件では、被害者は性的被害を受けることで深刻な心理的ダメージを負い、うつ症状やPTSD、生活全般への支障などに苦しむことがあります。そのような苦痛に対して金銭的な補償を行うのが、慰謝料の主たる目的です。

示談金とは

示談金は、慰謝料や医療費、物的損害など、被害者が被ったすべての損害を包括的に補償するために支払われる金銭の総称です。不同意性交等事件において、暴行・脅迫による怪我があれば治療費や通院費、あるいは被害者の仕事への影響による休業損害なども含まれる場合があります。特に加害者の行為が執拗であったり、被害者の職場や家族に知られたことで大きな社会的ダメージを受けた場合は、損害賠償を高額に請求されることがあり、それも示談金としてまとめて支払う形になることが多いです。

示談金(慰謝料)が高額化する要因

被害者の精神的苦痛の大きさ

不同意性交等事件は、被害者の人格を深く傷つける犯罪です。加害者との面識がある場合はもちろん、見知らぬ相手による犯行であっても、被害者が長期的な心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむケースは少なくありません。通院やカウンセリングを要するほどの深刻な精神的被害が認められる場合、加害者が支払うべき示談金は高額になる傾向があります。

被害者の社会的立場・家族への影響

被害者が未成年や学生の場合、事件が周囲に知られることで進学や就職に悪影響が及ぶ可能性があります。また、社会的地位の高い職業や公的立場にある方、芸能人や有名人が被害者になった場合、事件の公表による社会的ダメージが甚大であることから、示談金が跳ね上がるケースもあります。家族や知人への告知による精神的負担が大きいときも、示談金が高額化しやすい要因となります。

同種前科・常習性がある場合

不同意性交等事件以外にも、過去に痴漢や盗撮など、他の性犯罪で前科がある場合は「再犯の可能性が高い」と判断されやすく、被害者の処罰感情が強まります。特に、常習的に複数の被害者がいるケースや、余罪が発覚したケースでは、その分だけ示談交渉のハードルが上がり、高額な示談金を求められるおそれがあります。

暴行や脅迫など他の罪が併発している場合

不同意性交等事件の過程で、暴行罪や脅迫罪などが併発していると、示談交渉はより厳しくなります。被害者が受けた身体的損害(怪我・通院など)や精神的負担はもちろん、事件としての悪質性も高いため、示談金は高額化しやすいでしょう。また、複数の罪を併せて起訴される可能性があるため、加害者はより慎重に示談交渉を進める必要があります。

加害者の反省度合いと経済状況

示談金はあくまでも被害者の被った損害を補填するためのものである反面、加害者が十分な反省を示し、被害者に誠意ある対応をするかどうかも金額の決定に影響を及ぼします。また、加害者側が資産家・高所得者の場合、示談金の額が「支払い可能な範囲で高めに設定される」ことも少なくありません。被害者側としては「どれほどの金額なら反省の意を示すといえるのか」という観点で交渉に応じてくる可能性があるのです。

不同意性交等事件で示談を成立させるための方法とポイント

被害者との直接交渉は慎重に

不同意性交等事件では、加害者本人が被害者に連絡して謝罪や示談の相談を持ち掛けることは、被害者の恐怖心や不信感をいっそう高めるおそれがあり、逆効果になることが多いです。むしろ、ストーカーや脅迫まがいだと受け取られてしまう可能性も否定できません。また、すでに捜査機関が介入している場合、被害者の連絡先がわからなかったり、警察・検察が加害者に被害者の個人情報を教えてくれるわけでもありません。そのため、加害者本人が独力で示談交渉を進めることは現実的にはほぼ不可能といえるでしょう。

弁護士へ相談・依頼するメリット

弁護士であれば、警察や検察を通じて被害者の連絡先を入手できる可能性があります。また、弁護士が被害者にアプローチすることで、被害者としても「直接対面は避けたいが、弁護士相手なら話を聞いてみよう」という心理が働きやすくなります。さらに、弁護士は示談交渉の場面で、被害者と適切な距離感を保ちながら、かつ法的根拠に基づいて交渉を進めるため、法外な示談金を請求されにくいというメリットもあるのです。

示談を持ち掛けるタイミングと手続き

示談交渉を開始するタイミングは、なるべく早いほうが望ましいことは間違いありません。逮捕前なら逮捕を免れる可能性がありますし、逮捕後であっても勾留請求の段階で示談が成立すれば、検察が勾留を請求しないことも考えられます。起訴される前に示談が成立すれば、不起訴を勝ち取れる可能性が高まるので、加害者にとってはメリットが大きいです。起訴後であっても、公判が始まる前、あるいは判決前までに示談を結べば、量刑が軽くなる可能性があります。

加害者側にとっての示談成立のメリット

被害届や告訴の取り下げによる不起訴の可能性

不同意性交等事件は重罪ですが、被害者との示談が成立して「宥恕条項」(加害者を許す旨)が明確に示され、被害届や告訴が取り下げられれば、検察官が起訴を見送る(不起訴処分にする)可能性が高まります。性犯罪の場合、警察・検察は被害者の処罰感情を重視するため、「被害者が許している」という事実は捜査機関にとっても大きな要素です。

逮捕・勾留を免れる、または早期釈放が期待できる

すでに逮捕されている場合でも、早期に示談がまとまれば、検察が勾留を請求しない、あるいは裁判所が勾留請求を却下するといった形で、身体拘束を免れたり短縮できる可能性があります。勾留後であっても、示談交渉の進展が見られれば、検察や裁判所が勾留延長を認めない場合もあるため、結果的に早期の釈放につながるケースもあるのです。

前科がつくリスクの軽減・量刑の軽減

起訴され、有罪判決を受けると前科がついてしまいます。執行猶予がついたとしても、前科があることで就職や社会生活に支障を来たすことが多いでしょう。そのため、何とか起訴前に示談成立を図り、不起訴処分を勝ち取ることが重要です。起訴後でも、公判前までに示談を成立させれば、執行猶予付き判決や罰金刑など、比較的軽い刑にとどめられる可能性が高まります。

被害者側にとっての示談成立のメリット

慰謝料の受け取りと金銭面での補償

不同意性交等事件は身体的苦痛はもちろん、精神的なショックから生活全般に大きな支障を来す深刻な犯罪です。しかし、起訴・有罪判決となったとしても、裁判所が科すのはあくまで「刑罰」であり、その罰金は国庫に納付されるため、被害者が直接受け取れるわけではありません。被害者が金銭的補償を得るには、加害者との示談による慰謝料の受け取りがもっとも手早く、確実な方法となります。さらに、慰謝料に加えて通院費や休業損害など、被害者が実際に被った経済的損失を示談で回収できる可能性がある点も大きなメリットです。

加害者との接触回避や警告条件を設定できる

被害者が加害者に対して強い恐怖心を抱いている場合、示談書の中に「今後、一切の接触をしない」あるいは「違反した場合には違約金を支払う」旨の条項を盛り込むことが考えられます。こうした取り決めをすることで、加害者が事件後に報復的行為やストーカー行為を行うリスクを抑えられ、被害者の安心感を高めることができます。

公判での証言負担・プライバシーのリスク軽減

事件が公判まで進むと、被害者は法廷で証言を求められる可能性が高く、性的被害の詳細を話すという大きな負担が伴います。また、裁判の過程でプライバシーが漏れてしまう危険もゼロではありません。示談が成立していれば、不起訴や略式手続での処理が期待でき、公判まで進まないことも多いため、被害者が性被害の詳細を公に話す必要がなくなるというメリットがあります。

まとめ:適切な相場で示談を成立させるには刑事弁護に強い弁護士へ

不同意性交等事件の示談は、加害者が前科を回避したり、量刑を軽減するために非常に重要です。一方、被害者にとっては金銭的・心理的な補償や、今後の不安を取り除くために示談が有効になる場合があります。実際に示談交渉を行う際には、次の点をしっかりと押さえておくことが大切です。

  1. 示談金(慰謝料)の相場把握

    • 不同意性交等事件の示談金は、おおよそ100万~300万円程度が一つの目安です。事件の悪質性や被害者の被害状況に応じて大きく増減します。
  2. 被害者の処罰感情と二次被害への配慮

    • 被害者の意思を尊重し、直接連絡を取ることで不快感を与えたり、二次被害を拡大させないようにする必要があります。
  3. 弁護士への早期相談

    • 警察・検察が被害者の連絡先を教えてくれない、被害者が面会を拒否しているなど、加害者本人では示談交渉が成立しづらい状況が多いです。弁護士が間に入ることで適切なタイミングと方法で示談交渉を進められます。
  4. 誠意を示すことと法的根拠に基づく交渉

    • 被害者の立場を考慮したうえで誠心誠意謝罪を行いつつも、法的に妥当な範囲で示談金を提示する必要があります。いたずらに高額な請求に応じる必要はありませんが、低い金額を示してしまうと被害者側が示談を拒むリスクが高まります。
  5. 可能な限り早期解決を目指す

    • 示談交渉が早期に完了すれば、逮捕や勾留、不起訴処分の獲得、量刑の軽減に大きく影響します。加害者側としてはスピード感をもって弁護士と連携するのが得策です。

結論として、不同意性交等事件の示談交渉には、専門知識と豊富な経験をもつ弁護士のサポートが不可欠です。被害者側の感情をできるだけ傷つけずに交渉するテクニック、事件内容に応じた相場観、法律に基づく適切な示談書の作成など、個人では難しい局面が多々あります。早い段階で刑事弁護に強い弁護士へ相談し、示談交渉を適正に進めることで、加害者・被害者双方が納得する形で解決を図ることが可能となるでしょう。

示談がすべてのケースで成立するわけではありませんが、不同意性交等事件では被害者と誠意あるやり取りをし、双方合意のうえで解決を目指すことが刑事処分にも大きく影響を及ぼします。ご自身やご家族、知人が性犯罪の加害者となってしまった場合は、できるだけ早く専門家にご相談いただくことを強くおすすめします。

刑事事件の弁護人選任を検討されている方の初回相談は無料【24時間受付】弁護士が対応可能な場合はそのまま直通で無料電話相談が可能です

刑事事件はスピードが重要!今すぐ無料相談