痴漢で示談するメリットとは? 刑事事件になった場合の交渉の流れと示談金の相場も解説 |福岡で弁護士が刑事事件(示談交渉)をスピード解

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痴漢で示談するメリットとは? 刑事事件になった場合の交渉の流れと示談金の相場も解説

痴漢で示談するのは不起訴処分や執行猶予付き判決の獲得が主な目的です。
痴漢の事件で示談する際の流れや示談金の相場、痴漢の示談を弁護士に依頼・相談すべき理由について解説します。
 

痴漢で示談する目的とは? 痴漢の示談の流れと示談金の相場も解説します

痴漢は軽微な犯罪と思われがちですが、逮捕された場合は身体拘束を受けますし、被害者と示談を行わないと、起訴されて有罪判決を受けてしまいます。
痴漢の刑罰は軽微でも、有罪判決を受けて前科が付くと社会的な評価が大きく下落してしまい、仕事を失ったり、配偶者から離婚を迫られることもあります。
痴漢の加害者となった場合は、弁護士に依頼して被害者と示談を成立させて、不起訴処分を獲得することが非常に重要と言えます。
 

痴漢とはどのような犯罪か?

痴漢とは、一般的な用語で法律上の用語ではありません。
人に対して性的な言動をしたり、性的嫌がらせや卑わいな行為をすることを意味します。
一般的には、電車やバスと言った公共交通機関内で被害者の身体、とりわけ、下半身、お尻、胸、太ももを執拗に撫で回す行為が典型例です。
女性が被害者になるケースが大半で、服の上から触るだけでなく、下着の中に手を突っ込む悪質な痴漢もいます。
 
こうした行為は、各都道府県の迷惑防止条例違反、あるいは、刑法176条の不同意わいせつ罪に該当します。
 

痴漢犯罪における迷惑防止条例違反と不同意わいせつ罪の違い

痴漢行為が迷惑防止条例違反と不同意わいせつ罪のどちらに該当するのかは、痴漢行為の態様により異なります。
 
明確な基準があるわけではありませんが、
 

  • ・被害者の服の上から触った場合は、迷惑防止条例違反
  • ・被害者の下着の中に手を突っ込んで陰部に触れるなどしたら、不同意わいせつ罪

 
おおよそ、このような基準になります。
 
迷惑防止条例違反と不同意わいせつ罪のどちらに該当するのかは、法定刑が違うため大きな意味があります。
 

  • ・迷惑防止条例違反の場合は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金
  • ・不同意わいせつ罪の場合は、6月以上10年以下の拘禁刑

 
このように法定刑に差があり、一般的には、迷惑防止条例違反の方が法定刑が軽くなります。
 
また、被害者と示談する際に支払う示談金(慰謝料)の金額も、不同意わいせつ罪の方が高くなるのが一般的です。
 

刑事事件における示談とは?

痴漢などの刑事事件における示談は、加害者が被害者に謝罪し、許しを得るために行います。
また、刑事事件の被害者は、加害者が刑罰を受けた後でも、被害の賠償がなされていない場合は、民事上の損害賠償請求を行うことができます。
示談が成立した場合は、民事上の損害賠償も併せて行っていることが多いので、別途、民事上の訴えを起こされてしまう恐れはありません。
 

痴漢事件で示談する加害者側のメリット

痴漢事件の加害者(被疑者・容疑者・被告人)となってしまった場合は、被害者と示談するメリットがあります。
 
まず、逮捕された直後であれば、早期に示談を成立させることで身体拘束を早めに解いて、釈放してもらうことができます。
勾留請求がなされてしまう可能性がある場合は、その前に示談を成立させることが重要です。
身体拘束が解かれた後でも、検察が起訴する前であれば、不起訴処分を得るために示談を成立させる意義があります。
不起訴となれば、刑罰を受けることはありませんし、前科がつくこともありません。
起訴された場合は、ほぼ確実に有罪になってしまいますが、示談を成立させることで、刑罰を軽くすることが期待できます。
執行猶予付きの判決を得て、実際には拘禁刑を受けずに済ませるためには、判決前に示談を成立させる必要があります。
 
また、民事上の損害賠償も併せて行うことで、別途、民事訴訟を起こされる事態を防ぐことができます。
 

痴漢事件で示談する被害者側のメリット

痴漢事件の被害者にも加害者からの示談の申出に応じるメリットがあります。
 
加害者が刑罰を受けて、例えば、罰金刑に処せられたとしても、被害者にその罰金が支払われるわけではありません。
被害者が受けた被害の救済を求めたい場合は、加害者に対して、民事上の損害賠償請求を行う必要があります。
損害額を提示して、支払うように加害者側に催促しただけでは、すんなり応じるとは限らず、弁護士に依頼して訴訟を提起する覚悟が必要です。
ただ、弁護士を雇う場合はその分、費用が掛かりますし、実際に賠償金が支払われるまでは時間が掛かります。
その点、被害者側から示談の申出がなされている場合は、これに応じることで、示談金(慰謝料)を受け取ることができますし、弁護士費用も裁判の時間も掛かりません。
 
また、示談では、被害者の生活圏に近づかないでほしいといった被害者として加害者に要望したいことを、加害者が守るべき誓約内容として盛り込むこともできます。
加害者の行動を制限し、被害者の生活の安全確保を図ることができるわけです。
 

痴漢の示談交渉の流れ

刑事事件の示談では、当事者が直接交渉することは、一般的ではありません。
捜査が終結する前に加害者が被害者と接触することは、捜査機関から証拠隠滅と疑われかねない行為です。
また、加害者が被害者側から、法外な示談金を求められたり、不当な要求を受けてしまう恐れもあります。
そして、痴漢の場合は、そもそも被害者側が加害者本人が接触してくることを拒否する可能性が高いです。
当事者による直接交渉が困難な痴漢の示談交渉はどのように進めたらよいのか解説します。
 

弁護士に依頼する

まず、痴漢犯罪に詳しい刑事事件専門の弁護士を探して相談しましょう。
加害者本人が逮捕されて、身体拘束を受けている場合は、家族が代わりに弁護士に相談することも可能です。
 

弁護士が加害者と面談する

痴漢事件の弁護や示談を依頼された弁護士は、まず、警察や検察などの捜査機関に事件の進捗状況を確認します。
痴漢で逮捕された場合、逮捕から48時間以内に警察が取り調べを行い、検察に送致します。
その後、24時間以内に検察官が起訴するかどうか決めますが、捜査を続ける必要がある場合は、裁判所に勾留請求を行います。
裁判所に勾留請求が認められると10日間、又は20日間にわたり、身体拘束が続く可能性があります。
身体拘束を長引かせず、早期に釈放してもらうためには、早めに示談を成立させる必要があります。
 
その上で、弁護士が加害者と面談します。
事件の詳細をお聞きしたり、取り調べを受ける際の対応方法などもアドバイスします。
また、示談の意向や支払える示談金(慰謝料)の金額についても確認します。
 

弁護士が捜査機関に連絡を取る

弁護士が捜査機関に連絡を取ったうえで、被害者の連絡先を聞き出します。
捜査機関は、被害者に意向を確認した上で、弁護士に連絡先を教えてくれることもあります。
被害者が連絡先を知らせることを拒否した場合は、弁護士でも被害者との示談交渉が難しいこともあります。
 

弁護士が被害者と示談交渉を行う

被害者に連絡を取り、示談交渉をスタートします。
示談交渉ではまず、加害者が反省しており謝罪の意思を有していることを伝えます。
その上で、具体的な示談内容の話し合いを行います。
 

  • ・示談金(慰謝料)の金額の交渉。
  • ・被害者の許しを得る。
  • ・民事上の損害賠償請求権を放棄してもらう。

 
この3点がポイントです。
 

示談書を作成する

被害者との示談がまとまったら、まとまった内容について示談書を作成し、被害者に署名を求めます。
その上で、弁護士は、示談書の写しを警察や検察に提出します。
既に起訴されている場合は、裁判所に提出し、示談が成立した旨を主張します。
 

捜査機関が示談書を考慮して不起訴等の判断をする

警察や検察が示談書を受け取った場合は、被害者に間違いなく示談が成立したのか確認した上で、刑事事件化しない方針を決めたり、不起訴処分としたりします。
既に起訴されている場合でも、裁判官が量刑判断の資料とし、刑罰を軽くしたり、執行猶予を付けるといった判断を行います。
 

痴漢事件における示談金(慰謝料)の相場

痴漢の示談交渉では、加害者から被害者への示談金(慰謝料)の支払いが必要になるのが一般的です。
示談金(慰謝料)の相場は、明確に決まっているわけではありませんが、迷惑防止条例違反と不同意わいせつ罪のどちらに該当するのかにより、差が出てきます。
 

  • ・迷惑防止条例違反の場合は、20万円から50万円
  • ・不同意わいせつ罪の場合は、50万円から100万円

 
おおよそ、このような相場になっています。
ただ、加害者の痴漢行為の態様や、被害者が受けた被害の程度、精神的ショック、被害者の年齢によっては示談金(慰謝料)の金額がさらに高額になることもあります。
 

痴漢事件の示談書の内容のポイント

示談交渉の末、被害者との間で合意が成立したら示談書を作成しますが、示談書の内容も重要です。
 

被害者が加害者を許す旨の文言

特に重要なのが、被害者が加害者を許す旨を示談書の中で明言していることです。
具体的には、「甲(被害者)は乙(加害者)の謝罪を受け入れて許し、乙の処罰を求めない」という文言を入れます。
 
被害者が告訴した場合のみ刑事手続きが進められる親告罪の場合は、「乙を被告訴人とする告訴を取り下げる」といった文言を入れますが、不同意わいせつ罪等は、親告罪ではないため、「乙の処罰を求めない」という形で、被害者の意思を示す形になります。
被害者の意向を考慮するかどうかは、捜査機関や裁判官が判断することですが、この一文の有無により、起訴・不起訴や量刑が左右されることもあるため、非常に重要です。
 

民事上の損害賠償請求権を放棄する旨

示談交渉により、刑事上はもちろん、民事上の損害賠償請求の問題も含めてすべて解決したことを確認する一文を入れます。
具体的には、次のような文言です。
 
「甲及び乙は、本示談書に定める他、両者間に何らの債権債務も存しないことを相互に確認する」
 
この文言を入れた上で、示談書を作成し、被害者に署名押印を求めることにより、被害者から別途、痴漢事件について民事上の損害賠償請求を求められてしまう事態を防ぐことができます。
 

痴漢事件における示談以外の弁護方法

痴漢事件における示談は、被害者が示談に応じた場合のみ可能になるものです。
被害者が弁護士との連絡も拒否したり、加害者の謝罪を受け入れない場合は、示談を成立させることはできません。
また、弁護士が示談交渉を試みたものの、被害者が支払える示談金(慰謝料)の額を超える金額を求められるケースでは、交渉が決裂してしまうこともあります。
示談が成立しない場合でも、不起訴処分や執行猶予を獲得する手段はあります。
主な方法を紹介します。
 

しょく罪寄附を行う

被害者が示談金(慰謝料)を受け取らなかったり、示された示談金(慰謝料)の額が法外だった場合は、痴漢の被害者を救済する公的な団体に「しょく罪寄附」を行う方法もあります。
例えば、法テラスや弁護士会がしょく罪寄附を受け付けています。
しょく罪寄附は、加害者が反省の意思を有していることを具体的な行動で示す方法の一つです。
被害者との示談成立の面では意味はありませんが、検察官の起訴・不起訴の判断、裁判官の量刑判断に影響を与えることができます。
 

性依存症(性嗜好障害)の治療を受ける

痴漢を繰り返している人の場合は、性依存症(性嗜好障害)を患っている可能性があります。
痴漢行為をしてしまうのは、自分の病気が原因であることを加害者が自覚し、専門の医療機関で治療を受けることによって、痴漢の再発防止につなげることができます。
専門の医療機関で治療を開始したことや、医師の診断書、加害者の治療の進捗状況を捜査機関や裁判所に知らせることにより、検察官の起訴・不起訴の判断、裁判官の量刑判断に影響を与えることができます。
 

痴漢の示談交渉を行う際の弁護士の選び方

弁護士なら誰でも痴漢の示談交渉を行うスキルがあるわけではありません。
痴漢の示談交渉では、被害者感情に配慮しつつ、加害者側としては主張するべきことはしっかり話す必要があり、高いコミュニケーション能力が求められます。
弁護士を探す際は、刑事事件を引き受けているかどうかだけでなく、
 

  • ・痴漢事件等の性犯罪事件の示談交渉経験の有無
  • ・被害者とのコミュニケーション能力の高さ
  • ・警察や検察との情報共有能力の高さ

 
こうした点で優れている弁護士に依頼しましょう。
 
また、痴漢事件を初めとする刑事事件の示談交渉は、タイムリミットがあり、早期に成立させないと、検察が起訴してしまうこともあります。
そのため、フットワークが軽く、連絡を取りやすい弁護士に依頼することも大切です。

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