傷害事件の示談の流れと示談金の相場、弁護士に依頼しない場合のリスクについて |福岡で弁護士が刑事事件(示談交渉)をスピード解

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傷害事件の示談の流れと示談金の相場、弁護士に依頼しない場合のリスクについて

傷害事件で逮捕された後の早期釈放、不起訴処分、執行猶予付き判決の獲得を目指すためには、刑事弁護士に依頼し被害者との示談を早期に成立させることが大切です。
示談を行う流れと示談金の相場について解説します。

目次

傷害事件における示談の方法と交渉の流れ、示談金の相場、弁護士に依頼しない場合のリスクを解説

人に殴る、蹴るなどの暴行を行い、被害者に怪我を負わせた場合は、傷害事件となり、逮捕、起訴されてしまう可能性が高いです。
逮捕後、勾留請求がなされると最長で23日間の身体拘束を受けますし、起訴されると高い確率で有罪となり、前科が付きます。
こうした事態を避けるためには、加害者(被疑者)は、早期に刑事事件専門の弁護士に依頼して、被害者との示談を成立させる必要があります。
傷害事件の示談の流れと、示談金額の相場について解説します。

1.示談とは

示談とは、加害者と被害者間のトラブルを当事者の話し合いにより解決することです。
示談は、民事事件でも刑事事件でも行われています。
民事事件では、裁判手続により解決を目指すよりも当事者同士の話し合いで解決した方が、手間もかからず、お互いの労力も少なくて済むために利用されます。

一方、刑事事件で行われる示談は、逮捕された加害者(被疑者)の早期釈放、不起訴処分の獲得、執行猶予付きの判決や罰金判決など加害者が受ける刑罰を軽くすることを目的に行われます。
つまり、主にメリットを受けるのは加害者ですが、被害者にも、自ら費用を負担して弁護士に依頼したり裁判をしたりせず、さらに、加害者と直接話をせずに示談金を受け取れる点などのがメリットがあります。

2.傷害事件とは

傷害事件とは、加害者が被害者に怪我を負わせたために刑事事件に発展してしまうことです。
代表的な事例は、刃物や凶器により相手を傷つける場合ですが、殴る、蹴るといった行為により打撲傷を負わせた場合も、傷害事件になります。

2.1傷害罪とは

人の身体を傷害した場合は、傷害罪として刑罰を科せられます。
刑罰の内容は、15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。
親告罪ではないため、被害者が告訴しなくても警察や検察が捜査を行いますし、通報されれば、身柄を拘束され、逮捕されてしまいます。
逮捕後は、警察から検察への送検、検察官による勾留請求、検察官による起訴、刑事裁判という流れで傷害事件が処理されます。
起訴された場合は、高い確率で有罪判決が言い渡され、前科が付いてしまいます。

なお、傷害とは、刃物で相手を傷つけることや、殴る、蹴る行為により打撲傷を負わせることだけではありません。
次のような事例でも傷害罪になります。

  • ・ラジオや目覚まし時計を大音量で鳴らして、相手に精神的苦痛を与え、慢性的頭痛症、睡眠障害にさせること。
  • ・相手に精神的苦痛を与えて、心的外傷後ストレス障害を発症させること。・相手が寝ている間に髪の毛を無断で切ってしまうこと。
  • ・わざと腐った食べ物を食べさせて、下痢の症状を起こさせること。
  • ・相手に睡眠薬を摂取させて、数時間にわたり意識障害の症状を生じさせること。

つまり、相手に直接、暴行した場合だけでなく、薬を使ったり、精神的なストレスを与える方法によっても、傷害罪が成立するということです。

2.2傷害罪と暴行罪の違い

傷害罪と暴行罪は似た犯罪ですが、加害者が暴行を行った結果、被害者が怪我を負った場合が傷害罪、加害者が暴行したものの被害者が怪我を負わなかった場合が暴行罪となります。
暴行罪の場合、刑罰の内容は、2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料と、傷害罪と比べると軽くなります。

3.傷害事件で示談成立を目指す目的

傷害事件で示談成立を目指す目的は、加害者(被疑者)の早期釈放、不起訴処分の獲得、執行猶予付きの判決や罰金判決など加害者が受ける刑罰を軽くすることです。
そのため、加害者側の弁護士から話を持ち掛けるのが一般的です。

3.1示談成立により逮捕後の早期釈放を目指す

傷害事件では被害者が負傷している以上、通報されれば、加害者は高い確率で逮捕されます。
現行犯で逮捕される場合もあれば、被害者の告訴を受けて後日、警察が逮捕に来て、身柄を拘束されることもあります。

逮捕後の傷害事件の流れですが、まず、警察が取調を行い、48時間以内に検察官送致を行います。
そして、送致を受けた検察官が24時間以内に裁判所に対して勾留請求を行うか判断します。

検察官が勾留請求をし、裁判所が認めた場合は、10日間、身体拘束を受けることになります。
さらに、最長10日延長される可能性もあるため、逮捕から最大で23日間にわたり、身体拘束を受け続けることになります。

示談交渉は、傷害事件の加害者(被疑者)がこのような長期間にわたる身体拘束を受けることを防ぐ目的で行われます。
被害者との間で示談を成立させ、加害者の処罰を望まない旨を示談書に盛り込んでもらえば、その示談書を検察官や裁判所に提出することにより、勾留請求を止めさせたり、勾留請求の却下を求めることができます。

3.2示談成立により不起訴処分を目指す

検察官は、勾留期間中に傷害事件の起訴・不起訴を決定します。
傷害事件の起訴・不起訴を判断するに当たっては、証拠がそろっていることはもちろんですが、傷害事件の結果の重大性、つまり、被害者の怪我の程度や犯行の態様、傷害事件の計画性、凶器の使用の有無、加害者(被疑者)の反省の程度等を考慮します。
被害者との示談成立も考慮要素の一つになります。
示談が成立し、被害者が加害者(被疑者)の処罰を望んでいないことが明らかになれば、検察官が不起訴の判断を行うきっかけとなることもあります。
起訴された場合は、9割以上の確率で有罪判決を受けてしまい、前科がついてしまうため、不起訴処分を目指すことは重要です。

3.3示談成立により執行猶予を目指す

検察官が起訴した場合は、よほどの証拠が出ない限り、有罪判決を受けてしまう可能性が高くなります。
そこで、起訴後の弁護活動は、被疑者の刑罰を軽くすることを目指します。
法廷でのやり取りのほか、法廷外で弁護士が被害者の方と示談交渉を行い、示談成立を目指します。
判決が出るまでに示談が成立すれば、裁判官も示談が成立していることを加味したうえで、刑罰を軽くしてくれることもあります。

4.傷害事件の示談交渉の流れ

傷害事件の示談交渉は、

  • ・弁護士に依頼し傷害事件の被害者の連絡先を確認する
  • ・相手と示談交渉を行う
  • ・示談書を作成し相手に署名を求める
  • ・示談金を支払う

というのが大まかな流れです。
それぞれの時点でやることを解説します。

4.1傷害事件の被害者の連絡先を確認する

傷害事件の被害者が知り合いでない限り、加害者本人が被害者の住所や連絡先を知ることはできません。
警察や検察に問い合わせても、加害者本人には教えないのが一般的です。
この場合、加害者は弁護士を弁護人として選任して、弁護士から警察や検察に被害者の連絡先を問い合わせて貰う必要があります。
警察や検察は、被害者に弁護士から連絡先の問い合わせがあった旨を伝えて、被害者の承諾を得てから弁護士に伝えます。
この場合、弁護士は聞き取った連絡先を加害者本人には伝えないのが一般的です。

なお、傷害事件の加害者と被害者が知り合い同士で連絡先も分かっているならば、必ずしもこのような手続きを取る必要はありません。
しかし、傷害事件の加害者が被害者と直接示談交渉することは、様々なリスクが有るため、避けるのが無難です。

4.2傷害事件の被害者との示談交渉

弁護士が傷害事件の被害者と連絡を取り合い、被害者にお見舞いの意思を示したうえで、被害者が反省しており、示談を望んでいる旨を伝えます。
被害者との示談交渉では、弁護士は、被害者から許しを得る宥恕文言付きの示談書を取ることを目標とします。
具体的には、加害者の刑事処分を望まない、被害届を取り下げるといった文言を示談書の中に盛り込むことです。

示談交渉の結果、弁護士と被害者との間で示談がまとまれば、弁護士が作成した示談書に署名してもらうよう被害者にお願いします。

4.3傷害事件の被害者と交わす示談書の内容

弁護士が傷害事件の被害者と交わす示談書には次のような項目が盛り込まれます。

  • ・加害者が被害者に対して傷害行為を行ったことを認めて、真摯に謝罪する旨。
  • ・加害者が傷害行為に対する賠償金として被害者に示談金を支払う旨。
  • ・加害者が被害者に対して示談金を支払った旨。
  • ・被害者は加害者の謝罪を受け入れて、加害者を許し、加害者の処罰を求めない旨。
  • ・示談書で定めた示談金以外には、加害者と被害者の間には何らの債権債務も存在しない旨。

示談書に盛り込む条項では、加害者の刑事処罰を求めない旨が最も重要になりますが、示談金以外には、加害者と被害者の間には何らの債権債務も存在しない旨を記載することも大切です。
これにより示談金の支払いのみで、民事上の損害賠償義務も果たしたことになり、刑事裁判が不起訴になったのに、被害者に別途、民事訴訟を提起されて損害賠償請求を求められてしまう事態を防ぎます。

4.4傷害事件の被害者への示談金の支払い

示談が成立した後で、加害者から被害者に対して示談金を支払います。
示談金を支払った後で被害者に示談書への署名を求めるケースが多いと思いますが、示談書への署名をもらってから示談金を支払う場合もあります。

5.傷害事件の加害者と被害者が直接示談交渉することのリスク

傷害事件の加害者と被害者が当事者同士で示談交渉を行うことには次のようなリスクがあります。

  • ・感情的になって話し合いにならない
  • ・相場にあわない示談金を支払ってしまう
  • ・警察に逮捕されるリスクがある

それぞれのポイントを解説します。

5.1感情的になって話し合いにならない

傷害事件の当事者同士で顔をあわせてしまうと、加害者と被害者のどちらか又は双方が感情的になってしまい、話し合いどころではなくなることもあります。
また、被害者が重体で本人が話をできない場合は、家族から執拗に責められる事態も考えられます。

5.2相場にあわない示談金を支払ってしまう

傷害事件の示談金の相場には、目安はありますが、傷害事件の態様により異なるため、適切な示談金額は、刑事事件に詳しい弁護士が事案や事件例、判例などのデータを基に判断しなければなりません。
傷害事件の示談金の相場は、ネットでも様々な情報が出回っていますが、その事件に合う示談金額であるかどうかは、弁護士に相談しないと正確にはわからないことが多いです。
慌てて示談したために、相場以上の示談金を支払ってしまうこともあります。

5.3警察に逮捕されるリスクがある

傷害事件の加害者が被害者に接触することは、警察や検察から見れば、加害者が口封じや証拠隠滅を行おうとしていると受け止められかねない行為です。
そのため、捜査の段階によっては、傷害事件の加害者と被害者が接触していることを警察が察知した場合、逮捕されてしまうリスクがあります。

6.傷害事件の示談金の相場

傷害事件における示談金の金額は、被害者の被害の程度やその他様々な要素により大きく異なります。
被害者の怪我の程度が打撲のように軽微であれば数万円で済むこともありますが、被害者が重傷を負った上に、後遺症が残った場合は、数百万円といった示談金の支払いが必要になることもあります。

示談金は刑法の罰金刑で科せられる額が一応の目安とされることもあります。
傷害罪の罰金刑は、「50万円以下の罰金」とされていますから、50万円が示談金額の目安になるということです。
示談金として50万円を支払っていれば、検察も加害者が罰金刑としての最高額を支払っていることを加味して不起訴とすることもあります。

被害者との示談交渉では弁護士が具体的な示談金額を詰めていきますが、加害者の了解なしに、勝手に示談金額を決めることはありません。
示談交渉を行う前に、弁護士は必ず加害者と面会し、どれくらいの額までならば、示談金を支払えるか確認します。
加害者が支払える示談金額で、被害者が納得しない場合は、残念ながら示談は不成立となることもあります。

7.傷害事件の示談金の内訳

傷害事件の示談で加害者が支払うべき示談金の内訳は次のとおりです。

治療費
被害者が病院で手当てを受けた際にかかった費用
休業補償
被害者の怪我の程度が重く、入院したり、仕事を休まざるを得なかった場合の補償
慰謝料
被害者が傷を負わされたことで被った精神的苦痛への補償

被害者の怪我の程度が重い場合は、治療費や休業補償が高額になるため、示談金の額も高額にならざるを得ません。
打撲やかすり傷程度であれば、慰謝料の支払いだけで足りることもあります。

8.傷害事件で示談金が高額になるケース

傷害事件で示談金が高額になるのは、相手が重傷を負った場合や悪質性が高い事件の場合です。
それぞれのポイントを解説します。

8.1被害者が重傷の場合

被害者が刃物で刺されたり、骨折するなどして重傷を負った場合は、入院を余儀なくされるなどし、治療費が高額になりますし、入院期間中は仕事を休まざるを得ないため、休業損害も発生します。
また、怪我の程度が重く、傷跡が残るようだと被害者が被る精神的苦痛も重くなり、慰謝料の額も高額になります。
そのためトータルで支払うべき示談金額も高額になります。

8.2悪質性の高い傷害事件の場合

傷害事件の態様が悪質な場合は、示談金の額は高額にならざるを得ません。
例えば、

  • ・事前に襲撃計画を練っていた。
  • ・刃物やバールのようなものなどの凶器を用いた。
  • ・複数人で襲撃していた。

このような場合は、極めて悪質性が高いため、被害者は示談にすら応じてくれないことも多いでしょう。
被害者が重傷を負わなかったとしても、被った精神的苦痛が強いため、示談金額は高額になります。

9.傷害事件の被害者の怪我の程度と示談金額の目安

傷害事件の示談金の額は、被害者が被った怪我の程度により大きく異なります。
相手の怪我の程度が軽い場合は示談金の額が少ないですが、相手の怪我の程度が重く、骨折していたり、後遺症が残ったりする場合は、示談金が高額になります。

9.1全治1週間程度の怪我の場合

全治1週間程度の怪我は、打撲やあざが残ったというものです。
基本的に入院は必要なく、仕事も休む必要がないことがほとんどなので、治療費は高額になりません。
襲撃されたことや1週間痛みに耐えることなどの精神的苦痛に対する賠償が主なものになります。
示談金の金額としては10万円程度で解決する場合もあります。

9.2全治2週間程度の怪我の場合

全治2週間程度の怪我は、軽いむち打ちや捻挫等の負傷がある場合です。
入院は必要ないものの、医療機関へは何度か通う必要がありますし、数日は仕事を休まなければならないこともあります。
当然、被害者が被る精神的苦痛もその分重くなります。
示談金の金額としては20〜40万円程度が目安です。

9.3全治1か月程度の怪我の場合

全治1か月程度の怪我は、骨折等はなくても、かなりの傷を負っている状態です。
数日の入院が必要になることもありますし、退院後も受診が必要になるケースがほとんどでしょう。
仕事も数週間休まざるを得ないかもしれません。
当然、被害者の精神的苦痛も重いです。
示談金の金額としては50〜100万円程度が目安となります。

9.4骨折がある場合や後遺症が残る場合

骨折している場合は部位にもよりますが、数日以上の入院が必要になることも多いでしょう。
また、後遺症が残る場合は入院費、治療費、休業補償以外にも、逸失利益の支払いが必要になります。
逸失利益は、傷害事件で被害に遭わなければ本来得られるはずの収入のことで、この補償も含むと示談金の額は、数百万円単位になるケースもあります。

10.傷害事件で示談不成立となった場合

  • ・被害者との示談交渉を行っても、被害者が納得できる金額の示談金を提示できない。
  • ・被害者が示談成立を全く望んでいない。

このような場合は、示談不成立又は示談さえできないことになります。
示談が成立しなかった場合は、警察と検察における刑事手続が粛々と進められます。
傷害事件では、被害者に身体的損害が発生している以上、軽微な事案でも、不起訴になることはほとんど期待できません。
起訴<略式起訴を含む>された場合は、ほぼ確実に有罪となり、前科がついてしまうことになります。

被害者との示談を行わなければ、示談金を支払う必要はありません。
ただ、民事責任を免れるわけではないため、被害者が他の弁護士に相談したうえで、民事上の損害賠償請求を求めてくることも多いでしょう。
被害者が弁護士を立てている場合、被害者の損害賠償請求を無視していると、民事訴訟を起こされてしまい、判決が確定すれば、強制執行により財産の差し押さえがなされてしまう事態になります。

11.まとめ

傷害事件における示談の流れと、示談金の相場について解説しました。
傷害事件の示談は、加害者(被疑者)の逮捕後の勾留回避などの早期釈放、不起訴処分、執行猶予判決などを目指して行うものです。
起訴されてしまうと高い確率で有罪になり、前科がついてしまいます。
そのため、前科が付かないように示談をしたいのであれば、検察官が起訴・不起訴の判断をするまでの間に示談を成立させることがポイントになります。
示談交渉は、弁護士なら誰でもできるものではなく、被害者の心情をくみ取りつつ、穏便に進める必要があり、高度なコミュニケーション能力が必要になります。
不起訴処分を目指すならば、タイムリミットがあるため、示談交渉経験が豊富で早期に示談をまとめられる弁護士に依頼することが大切です。

 

この記事の監修者:弁護士 原 隆

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