公務員が刑事事件を起こした場合|処分と弁護活動のポイント【弁護士解説】 |福岡で弁護士が刑事事件(示談交渉)をスピード解

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公務員が刑事事件を起こした場合|処分と弁護活動のポイント【弁護士解説】

はじめに

公務員が刑事事件を起こしてしまった場合、一般の会社員とは異なる特有のリスクに直面します。刑事処分そのものに加えて、懲戒免職や失職といった厳しい行政上の処分を受ける可能性があり、退職金の全額不支給や各種資格の喪失など、その影響は長期にわたって生活の基盤を揺るがしかねません。

さらに、公務員の不祥事は報道されやすい傾向にあり、実名報道がなされれば社会的なダメージも甚大です。こうした事情から、公務員の刑事事件では、刑事処分の軽減だけでなく、懲戒処分の回避・軽減、報道対策まで視野に入れた包括的な弁護活動が求められます。

本コラムでは、公務員が刑事事件を起こした場合に生じる法的な問題、懲戒処分の種類と基準、そして弁護士による弁護活動のポイントについて解説します。

公務員特有のリスク

欠格条項による失職

公務員にとって最も深刻なリスクのひとつが、法律上の欠格条項に該当することによる「失職」です。

国家公務員法第76条および第38条、地方公務員法第28条第4項および第16条は、「拘禁刑以上の刑に処せられ」た者を公務員の欠格事由として定めています。つまり、拘禁刑以上の刑の有罪判決が確定した場合、懲戒処分の手続きを経ることなく、法律上当然に失職します。

ここで重要なのは、執行猶予付きの判決であっても禁錮以上の刑に変わりはないため、失職の対象となるという点です。実刑判決はもちろん、執行猶予付きの判決であっても、公務員としての身分を失うことになります。

一方、罰金刑にとどまった場合には、欠格条項には該当しません。このことから、公務員の刑事事件においては、不起訴処分の獲得が最優先であり、仮に起訴された場合でも罰金刑にとどめることが、身分を維持する上で極めて重要な意味を持ちます。

懲戒処分

欠格条項による失職とは別に、任命権者による懲戒処分を受ける可能性があります。懲戒処分には、免職、停職、減給、戒告の4種類があり、犯罪行為の内容や重大性に応じて処分の程度が決定されます。

懲戒免職となった場合には、退職手当が全額不支給または一部不支給となるのが通例です。数十年にわたる勤続によって積み上げた退職金を全額失う可能性があることは、経済的な影響として極めて大きなものです。

報道リスク

公務員の犯罪は、民間の会社員と比較して報道される可能性が格段に高くなります。「公務員の不祥事」として社会的関心を集めやすいためです。特に、教員、警察官、消防士など、公共性の高い職種の場合には、軽微な事件であっても実名で報道されるケースがあります。

報道がなされれば、本人だけでなくご家族の社会生活にも深刻な影響が及びます。

懲戒処分の判断基準

人事院の懲戒処分の指針

国家公務員の懲戒処分については、人事院が「懲戒処分の指針」を公表しており、非違行為の類型ごとに標準的な処分量定が示されています。地方公務員についても、多くの自治体が同様の指針を策定しています。

たとえば、人事院の指針では、窃盗や横領は免職、暴行・傷害は停職または免職、飲酒運転は免職または停職、痴漢行為は停職または免職といった基準が示されています。

ただし、これらはあくまで標準的な処分量定であり、実際の処分は個別の事情を考慮して決定されます。犯行の態様、被害の程度、日頃の勤務態度、反省の状況、社会的影響などが総合的に判断されるため、弁護活動によって処分の軽減を実現できる余地があります。

処分の軽減が認められ得る事情

懲戒処分の量定にあたっては、非違行為の動機・態様が悪質でないこと、被害が軽微であること、被害者との示談が成立していること、深い反省が認められること、過去の勤務実績が良好であること、職務への影響が限定的であることなどが、処分を軽減する方向で考慮される事情として挙げられます。

弁護活動のポイント

1. 不起訴処分の獲得を最優先とする

公務員の刑事事件において、不起訴処分の獲得は他のどの目標よりも優先されます。不起訴となれば前科がつかず、欠格条項にも該当しないため、公務員としての身分を維持できる可能性が格段に高まります。

弁護士は、被害者との示談交渉を迅速に進め、宥恕(許し)を含む示談を成立させた上で、検察官に対して不起訴が相当である旨の意見書を提出します。被害者のいない犯罪(薬物事犯等)の場合にも、贖罪寄付や治療プログラムへの参加など、可能な限りの情状を積み上げて不起訴を目指します。

2. 起訴された場合は罰金刑の獲得を目指す

不起訴処分が得られなかった場合、次の目標は罰金刑にとどめることです。前述のとおり、禁錮以上の刑が確定すると法律上当然に失職するため、罰金刑と禁錮刑・懲役刑の間には、公務員にとって決定的な差があります。

略式命令による罰金刑が見込める事案では、弁護士が検察官に対して略式起訴を促す交渉を行うことがあります。正式裁判となった場合にも、罰金刑が相当であることを法廷で主張します。

3. 懲戒処分への対応

刑事弁護と並行して、懲戒処分の軽減に向けた活動も重要です。多くの場合、任命権者は刑事処分の結果を待って懲戒処分を決定しますが、職場内での調査や事情聴取は逮捕後早い段階から始まることがあります。

弁護士は、職場の事情聴取に対する対応方針についても助言を行います。事情聴取における供述内容が懲戒処分の判断に影響するため、刑事手続きとの整合性を意識した慎重な対応が求められます。

また、弁護士が任命権者に対して、示談の成立や被害者の宥恕、本人の反省、再発防止策の実施状況などを記載した意見書を提出し、処分の軽減を求めることも有効な弁護活動のひとつです。

4. 報道対策

公務員の事件は報道リスクが高いため、弁護士を通じた報道対策も重要な弁護活動の一環です。捜査段階で報道機関に情報が提供される前に、弁護士が検察官や警察に対して実名発表の回避を要請することが考えられます。

すでに報道がなされてしまった場合には、インターネット上の記事の削除請求を検討します。報道によるダメージを最小限に抑えることは、本人の社会復帰だけでなく、ご家族の生活を守る上でも重要です。

5. 再発防止策の策定と実行

公務員の懲戒処分においては、再発防止に向けた具体的な取り組みが評価される傾向があります。犯罪の内容に応じて、アルコール依存症の治療、アンガーマネジメント講座の受講、カウンセリングの継続、ボランティア活動への参加など、実効性のある再発防止策を策定し、実際に着手していることを示すことが重要です。

弁護士は、これらの取り組みを証拠化し、検察官への意見書や任命権者への報告書に添付することで、刑事処分と懲戒処分の双方において有利な材料として活用します。

職種別の留意点

教員

教員の場合、教育職員免許法の規定により、禁錮以上の刑に処せられると教員免許が失効します。免許の失効は失職を意味するだけでなく、教職への復帰が困難になるという長期的な影響を伴います。また、児童・生徒に対する犯罪は、社会的な非難が特に強く、報道リスクも極めて高い点に留意が必要です。

警察官・自衛官

警察官や自衛官は、法令遵守を職務の基本とする職種であるため、犯罪行為に対する組織内の処分基準が厳格です。軽微な事案であっても懲戒免職となるケースがあり、弁護活動にはより一層の慎重さが求められます。

地方公務員全般

地方公務員の場合、懲戒処分の基準は自治体ごとに異なります。弁護士は、当該自治体の処分指針を確認した上で、処分の軽減が見込める事情を的確に主張する必要があります。

おわりに

公務員が刑事事件を起こした場合、刑事処分に加えて失職・懲戒免職・退職金の不支給・資格の喪失・実名報道など、一般の方以上に深刻な影響が生じ得ます。しかし、早期に弁護士に依頼し、不起訴処分の獲得、罰金刑での終結、懲戒処分の軽減に向けた弁護活動を的確に行うことで、これらの影響を最小限に抑えられるケースは少なくありません。

当事務所では、初回相談無料・365日24時間お電話で、公務員の方の刑事事件も受け付けております。逮捕された場合はもちろん、捜査を受けている段階でのご相談も承っておりますので、一刻も早くご連絡ください。


※本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な事案については、弁護士にご相談ください。

 

この記事の監修者:弁護士 原 隆(福岡県弁護士会所属 登録番号52401)

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