家族が逮捕されたら最初にすべきこと|弁護士への連絡方法と今できる対応
目次
はじめに
ある日突然、警察から「ご家族を逮捕しました」という連絡を受けたとき、冷静でいられる方はほとんどいないでしょう。驚き、不安、混乱——さまざまな感情が押し寄せる中で、「何をすればよいのかわからない」という状態に陥ってしまうのは無理もないことです。
しかし、逮捕直後の初動対応は、その後の刑事処分の結果を大きく左右します。ご家族の力が必要な場面は数多くあり、適切な行動をとることで、早期の身柄解放や不起訴処分の獲得につながる可能性が高まります。
本コラムでは、家族が逮捕された場合に最初にすべきこと、弁護士への連絡方法、そしてご家族の立場で今すぐできる対応について、時系列に沿って解説します。
警察からの連絡で確認すべきこと
家族の逮捕を知るきっかけとして最も多いのは、警察からの電話連絡です。逮捕された本人が「家族に連絡してほしい」と申し出ることで、警察が連絡を入れるケースが一般的です。
この電話を受けた際には、動揺する気持ちを抑え、以下の情報を必ず確認してメモに残しましょう。
まず、本人が留置されている警察署の名前と所在地です。これは弁護士が接見に向かう際に不可欠な情報です。次に、担当の部署と担当者名を確認します。後から問い合わせる際に必要になります。そして、どのような容疑で逮捕されたのか、わかる範囲で確認しましょう。ただし、警察が電話口で詳しい内容を教えてくれないことも少なくありません。その場合は、わかる範囲の情報だけでも記録しておきましょう。
なお、「警察を名乗る詐欺電話」の可能性もゼロではありません。不審に感じた場合は、自分で調べた警察署の代表電話番号に折り返して確認することをお勧めします。
最優先で行うべきこと:弁護士への連絡
警察からの連絡を受けて最初にすべき、そして最も重要なことは、弁護士に連絡することです。
なぜ弁護士への連絡が最優先なのか
逮捕された本人は、外部との連絡手段が極めて限られます。携帯電話は押収され、自由に電話をかけることもできません。面会(接見)についても、逮捕直後の段階ではご家族であっても認められないことがほとんどです。
唯一、制限なく本人と面会できるのが弁護士です。弁護士には「接見交通権」が保障されており、逮捕直後であっても、時間の制限なく、立会人なしで本人と面会することが認められています。つまり、弁護士だけが逮捕された本人と自由にコミュニケーションをとれる存在なのです。
弁護士が早期に接見することで、本人の状況を正確に把握できる、取調べに対する適切なアドバイスができる、身柄解放に向けた手続きに速やかに着手できる、ご家族に対して今後の見通しを説明できるといったメリットが得られます。
弁護士への連絡方法
弁護士に連絡する方法は、主に以下の3つです。
第一に、知り合いの弁護士がいる場合は、直接連絡を取りましょう。ただし、弁護士にはそれぞれ専門分野があるため、刑事事件の経験が豊富な弁護士であるかどうかを確認することが大切です。刑事事件を扱っていない弁護士の場合は、刑事弁護に強い弁護士を紹介してもらうのも一つの方法です。
第二に、刑事事件に対応している法律事務所に直接連絡する方法です。インターネットで「刑事事件 弁護士 ○○(地域名)」と検索すれば、対応可能な事務所が見つかります。深夜や休日の逮捕であっても、24時間対応を掲げている事務所であれば、時間を問わず相談が可能です。
第三に、当番弁護士制度を利用する方法です。各地の弁護士会が運営する制度で、逮捕された本人または家族が弁護士会に連絡すると、担当の弁護士が原則として1回無料で接見に駆けつけてくれます。ただし、弁護士を指名することはできず、刑事弁護の経験にばらつきがある点には留意が必要です。
逮捕後の流れを理解する
弁護士に連絡する一方で、今後どのような流れで手続きが進むのかを把握しておくことも重要です。全体像を知ることで、各段階で何をすべきかが見えてきます。
逮捕後、警察は48時間以内に被疑者を検察官に送致するかどうかを判断します。送致された場合、検察官は24時間以内に勾留を請求するか釈放するかを決定します。勾留が認められると、原則として10日間、延長を含めて最大20日間の身柄拘束が続きます。この勾留期間中に、検察官が起訴か不起訴かの最終的な判断を下します。
つまり、逮捕から最大23日間にわたって身柄が拘束される可能性があるのです。この限られた期間の中で、弁護士は身柄解放、示談交渉、不起訴獲得に向けた活動を同時並行で進めていくことになります。
ご家族にできる具体的な対応
職場・学校への連絡
逮捕された本人は外部への連絡ができないため、ご家族が職場や学校に対して欠勤・欠席の連絡を入れる必要があります。この段階では、逮捕の事実をそのまま伝える必要はありません。「体調不良」「家庭の急な事情」など、差し障りのない理由で当面の欠勤を伝えるのが現実的です。
どのように説明すべきかについては、弁護士と相談した上で対応を決めるのが安心です。身柄拘束が長期化する場合の説明方法も含めて、弁護士が具体的にアドバイスします。
本人の生活面の対応
逮捕に伴い、本人の日常生活に関してご家族が対応すべきことがいくつかあります。自宅の家賃、公共料金、携帯電話料金などの支払いが滞らないよう手続きを確認すること、同居しているペットの世話や、留守中の自宅の管理が必要です。また、弁護士から差し入れの依頼があった場合に備えて、着替えや現金(留置施設内での日用品購入用)を準備しておくことも有用です。
事件に関する証拠や資料の保全
弁護士から指示があった場合には、事件に関連する資料や証拠を保全しておくことが重要です。たとえば、被害者とのやり取りの記録(メール、LINE等)、事件当時の状況を示す資料、アリバイを証明する資料などが考えられます。
ただし、証拠の隠滅や改ざんと疑われる行為は絶対に避けなければなりません。あくまで弁護士の指示に基づいて、適切な方法で保全することが大切です。
示談交渉への協力
被害者がいる事件では、示談交渉が刑事処分に極めて大きな影響を与えます。示談金の準備は、ご家族の協力が必要となる場面のひとつです。弁護士から示談金の目安について説明を受けた際には、資金の準備について早めに検討を始めましょう。
なお、ご家族が被害者に直接連絡を取ることは避けてください。善意からの行動であっても、被害者にとっては恐怖や圧力と感じられる場合があり、示談交渉を難しくする原因となります。被害者との連絡は、すべて弁護士を通じて行うのが鉄則です。
身元引受人としての役割
早期の身柄解放が実現した場合や、保釈が認められた場合には、ご家族が身元引受人となることが求められるケースがあります。身元引受人は、本人の日常生活を監督し、逃亡や証拠隠滅を防止する役割を担います。弁護士から身元引受書への署名を求められた場合には、その意味と責任について説明を受けた上で対応しましょう。
やってはいけないこと
ご家族の立場で絶対に避けるべき行動もあります。
第一に、被害者への直接の接触です。謝罪のつもりであっても、脅迫や証拠隠滅と受け取られるリスクがあります。第二に、証拠の隠滅・改ざんです。本人を助けたい一心からであっても、証拠隠滅罪(刑法第104条)に問われる可能性があります。第三に、SNSでの発信です。事件に関する情報をSNSに投稿することは、捜査に悪影響を及ぼすだけでなく、被害者を刺激し、示談交渉を困難にするおそれがあります。
いずれの場合も、「弁護士に確認してから行動する」という原則を徹底することで、取り返しのつかない事態を防ぐことができます。
おわりに
家族の逮捕という事態に直面したとき、最も大切なのは「一刻も早く弁護士に連絡すること」です。弁護士が介入することで、本人の権利が守られ、早期の身柄解放や不起訴処分の獲得に向けた活動が速やかに始まります。そして、ご家族自身も弁護士から適切な助言を受けることで、冷静に、かつ効果的に本人をサポートすることができるようになります。
当事務所では、初回相談無料・365日24時間のお電話受付で、逮捕直後の緊急のご相談も受け付けております。ご家族が逮捕されて不安な方は、時間を問わず、まずはお電話ください。
※本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な事案については、弁護士にご相談ください。
この記事の監修者:弁護士 原 隆(福岡県弁護士会所属 登録番号52401)
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