刑事事件で執行猶予を獲得するには?条件と弁護士の弁護活動を解説 |福岡で弁護士が刑事事件(示談交渉)をスピード解

原綜合法律事務所 対応地域/福岡県及び近県(九州及び山口県)
弁護人選任検討の方専用の相談ダイヤル/050-7586-8360/【24時間受付・初回無料(加害者本人と親族のみ)】 メールでのご相談も受付中

刑事事件で執行猶予を獲得するには?条件と弁護士の弁護活動を解説

はじめに

刑事事件で起訴され、有罪判決が避けられない状況であっても、執行猶予付きの判決を獲得できれば、直ちに刑務所に収容されることなく社会生活を続けることができます。

執行猶予は、被告人の社会復帰の機会を保障する極めて重要な制度です。しかし、すべての事件で執行猶予が認められるわけではなく、法律上の要件を満たした上で、裁判官が「猶予を付すことが相当である」と判断する必要があります。

本コラムでは、執行猶予が認められるための法律上の条件、裁判官が判断にあたって重視するポイント、そして執行猶予を獲得するために弁護士が行う弁護活動について詳しく解説します。

執行猶予制度とは

執行猶予とは、有罪判決において言い渡された刑の執行を一定期間猶予し、その期間中に再び犯罪を犯さなければ、刑の言渡し自体が効力を失うという制度です。

たとえば、「懲役1年6か月、執行猶予3年」という判決が言い渡された場合、直ちに刑務所に収容されることはなく、3年間の猶予期間中に再び罪を犯さなければ、懲役1年6か月の刑は執行されずに済みます。猶予期間を無事に経過すれば、刑の言渡しは効力を失い、法的には、刑の執行を受けたことがない者として扱われます。

一方、猶予期間中に再び犯罪を犯して有罪判決を受けた場合には、猶予が取り消され、元の刑と新たな刑の両方が執行されることになります。

執行猶予が認められるための法律上の条件

刑の全部の執行猶予(刑法第25条第1項)

執行猶予が認められるためには、以下の法律上の要件をすべて満たす必要があります。

第一の要件は、言い渡される刑が「3年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金」であることです。これを超える刑が言い渡される場合には、法律上、執行猶予を付すことができません。

第二の要件は、被告人が以下のいずれかに該当することです。前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者、前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日またはその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者のいずれかです。

これらの要件を満たす場合に、裁判所は1年以上5年以下の期間、刑の全部の執行を猶予することができます。

再度の執行猶予(刑法第25条第2項)

すでに執行猶予中の者が再び罪を犯した場合でも、極めて例外的に再度の執行猶予が認められることがあります。ただし、言い渡される刑が1年以下の拘禁刑であること、情状に特に酌量すべきものがあることという厳しい要件が課されており、実務上、再度の執行猶予が認められるケースは極めて稀です。

保護観察付き執行猶予

執行猶予の判決に際し、裁判所が保護観察を付すことがあります。保護観察が付された場合、猶予期間中は保護観察官や保護司の指導・監督を受けることになります。再度の執行猶予の場合には、保護観察が必ず付されます。

裁判官が執行猶予の判断で重視するポイント

法律上の要件を満たしている場合でも、実際に執行猶予が付されるかどうかは、裁判官の裁量に委ねられています。裁判官が判断にあたって重視する主な事情は以下のとおりです。

犯行の態様と結果の重大性

犯行がどの程度悪質であったか、被害がどの程度重大であったかは、最も基本的な判断要素です。計画的な犯行、凶器を使用した犯行、被害者に重篤な傷害を負わせた犯行などは、実刑判決に傾く事情となります。逆に、偶発的な犯行や被害が軽微な事案では、執行猶予が認められやすくなります。

前科前歴の有無

初犯であるかどうかは、執行猶予の判断に大きな影響を及ぼします。前科がない場合は執行猶予が付される可能性が相当程度あるのに対し、同種の前科がある場合には実刑の可能性が高まります。特に、前回も執行猶予付きの判決を受けていた場合には、再度の執行猶予の要件が極めて厳しいため、実刑判決となる可能性が高くなります。

被害者との示談の成否

被害者との間で示談が成立し、被害弁償が行われていることは、執行猶予の判断において有利に考慮される重要な事情です。特に、被害者から宥恕(許し)の意思が示されている場合には、裁判官の心証に大きく影響します。

被告人の反省の態度

被告人が自らの行為を真摯に反省しているかどうかも重要な判断要素です。法廷における被告人の態度、反省の言葉、被害者への謝罪の状況などが考慮されます。

社会復帰の環境

執行猶予は、被告人を社会内で更生させることを目的とした制度です。そのため、社会復帰のための環境が整っているかどうかが重視されます。具体的には、安定した就労先があること、家族による監督・支援体制が整っていること、住居が確保されていることなどが有利な事情として評価されます。

執行猶予獲得に向けた弁護士の弁護活動

1. 示談交渉の実施

被害者がいる事件では、示談の成立が執行猶予の獲得に向けて最も効果的な活動のひとつです。弁護士は、起訴後であっても被害者との示談交渉を積極的に進め、被害弁償と宥恕の獲得を目指します。

起訴前に示談が成立していれば不起訴処分を得られた可能性があるケースでも、起訴後の示談は量刑上有利に考慮されます。示談は起訴後であっても十分に意義があり、判決までに成立させることが重要です。

2. 情状証人の準備

裁判において、被告人の家族、雇用主、知人などが情状証人として出廷し、被告人の人柄や反省の態度、今後の監督を約束する証言を行うことは、執行猶予の獲得に有効です。

弁護士は、最も効果的な情状証人を選定し、証言内容の準備を行います。情状証人には、被告人との関係性、日常的な監督が可能であること、具体的な監督方法などを証言してもらうのが一般的です。形式的な証言ではなく、裁判官の心に響く具体性のある証言ができるよう、入念な打ち合わせを行います。

3. 再発防止策の立証

被告人が今後再び犯罪を犯さないための具体的な再発防止策を示すことは、裁判官に対して「社会内での更生が可能である」と訴える有力な材料となります。

犯罪の類型に応じて、アルコール依存症の治療プログラムへの参加、薬物依存症のリハビリ施設への通所、アンガーマネジメント講座の受講、カウンセリングの継続、問題のある交友関係の清算など、具体的かつ実効性のある再発防止策を提示し、すでに着手していることを証拠をもって立証します。

4. 被告人質問への準備

裁判における被告人質問は、裁判官に被告人の反省と更生の意思を直接伝える貴重な機会です。弁護士は、被告人と十分な打ち合わせを行い、犯行に至った経緯の説明、被害者への謝罪の言葉、反省の内容、今後の生活の見通しなどを、誠実かつ具体的に述べられるよう準備します。

表面的な反省の言葉を並べるだけでは裁判官の心証を得ることは難しく、なぜその行為が誤りであったのか、被害者にどのような苦痛を与えたのかを自分の言葉で語ることが求められます。

5. 弁論における情状主張

弁護人の最終弁論は、これまでの弁護活動の集大成です。弁護士は、示談の成立、被害弁償の状況、被告人の反省の態度、再発防止策の内容、社会復帰の環境など、執行猶予を相当とする事情を体系的に整理し、裁判官に対して説得力のある弁論を行います。

同種事案における量刑傾向を踏まえた上で、本件では執行猶予が相当であることを具体的な根拠とともに主張することが重要です。

おわりに

執行猶予を獲得できるかどうかは、被告人の社会復帰にとって決定的な分かれ目となります。実刑判決を受ければ刑務所に収容され、仕事や家庭を失うおそれがありますが、執行猶予が付されれば、社会の中で更生し、日常生活を取り戻すことが可能です。

執行猶予の獲得には、法律上の要件を充足するだけでなく、示談交渉、情状証人の準備、再発防止策の立証、被告人質問の準備、弁論活動など、多岐にわたる弁護活動を緻密に積み重ねることが不可欠です。当事務所では、初回相談無料・365日24時間のお電話対応で、起訴後の弁護活動にも全力で取り組んでおります。実刑判決の回避に向けて、まずはお早めにご相談ください。


※本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な事案については、弁護士にご相談ください。

この記事の監修者:弁護士 原 隆(福岡県弁護士会所属 登録番号52401)

原綜合法律事務所(福岡)のご案内

 ★所属弁護士について

 ★弁護士費用について

 ★お問い合わせ方法

刑事事件の弁護人選任を検討されている方の初回相談は無料【24時間受付】弁護士が対応可能な場合はそのまま直通で無料電話相談が可能です

刑事事件はスピードが重要!今すぐ無料相談