痴漢事件の示談金(慰謝料)の相場はいくらか?示談交渉のメリットなどを解説 |福岡で弁護士が刑事事件(示談交渉)をスピード解

原綜合法律事務所 対応地域/福岡県及び近県(九州及び山口県)
弁護人選任検討の方専用の相談ダイヤル/050-7586-8360/【24時間受付・初回無料(加害者本人と親族のみ)】 メールでのご相談も受付中

痴漢事件の示談金(慰謝料)の相場はいくらか?示談交渉のメリットなどを解説

目次

はじめに

本コラムは、痴漢事件の示談交渉を検討される方に向けて、示談金(慰謝料)の相場や示談交渉の進め方、示談を成立させることによるメリットなどを解説したものです。痴漢事件での示談金の金額はケースバイケースであり、一概に「この金額なら妥当」というラインがあるわけではありません。しかし、一定の「相場」や、示談金を左右する要素、示談成立のためのポイントを理解しておくことは、加害者・被害者の双方にとって重要です。この記事では、痴漢事件における示談金の相場や示談交渉の注意点、メリットを総合的にご説明します。

痴漢事件の示談金(慰謝料)の相場はどのくらいか?

痴漢事件(迷惑行為防止条例違反)の示談金相場の概要

痴漢事件の示談金(慰謝料)の相場は30万円前後です。約10万円から50万円の範囲で成立している例が多い印象です。比較的軽微な事案であれば10万円程度、悪質性が高い場合には50万円を超えることもあり、まれに100万円近い示談金が提示されることもあります。
ただし、痴漢事件という一括りの中でも、どのような被害状況か、どの程度の身体的接触や精神的苦痛が伴ったのか、加害者の行為態様や被害者との関係性など、事案の詳細によって示談金額は大きく変動します。

示談金が変動する主な要素

  • 被害の態様・程度
    単なる軽い触れ方だったのか、悪質な方法で執拗に触れたのか、あるいは性的部位への強い接触があったのか、といった点により被害者の精神的苦痛は変わります。被害者の苦痛が大きいほど高額化しやすい傾向があります。
  • 被害者が未成年、妊婦、身体的弱者の場合
    一般成人女性への痴漢よりも、未成年や妊婦、身体的に弱い立場の方が被害を受けた場合はより悪質とみなされ、示談金が高額になりがちです。
  • 常習性の有無
    過去にも同様の行為歴がある場合や、複数の被害者が存在する場合は「常習的にやっている」とみなされ、反省や更生の見込みが疑われるため、被害者の処罰感情が強くなる傾向があります。
  • 被害者が著名人・有名人の場合
    著名人や芸能人などが被害者であれば、事件が公になることで被害者が受ける精神的負担は大きいと判断されがちで、示談金も高額になる可能性があります。

示談金と慰謝料の違いは?

示談金と慰謝料という言葉は、刑事事件においてしばしば混同されて用いられます。広い意味では「示談金=慰謝料も含んだ損害賠償金の総称」と考えられますが、厳密には以下のような違いがあります。

  • 慰謝料
    被害者が受けた「精神的苦痛」に対して支払われる金銭です。痴漢の被害者は、身体を触られたショック、自分の尊厳が踏みにじられたという心理的ダメージを受けるため、その苦痛を金銭で補う目的で「慰謝料」が発生します。
  • 示談金
    慰謝料を含む、その他の損害(壊れた物の補償、治療費など)をまとめて支払う場合、もしくは「法的紛争を一括して終わらせるための和解金」を指すことが多いです。痴漢事件では、暴行のような物理的損壊を伴わないケースが多いものの、万が一、負傷があった場合の治療費や通院費などが示談金に含まれることもあります。

痴漢事件では、被害者が負傷していない場合には実費がほぼ発生せず、支払われるものは精神的苦痛に対する慰謝料が中心となります。そのため、示談金=慰謝料と同義で扱われるケースが大半です。

痴漢とは何か? 迷惑防止条例と刑法の違い

痴漢は「迷惑行為防止条例違反」か「強制わいせつ罪」か

痴漢行為は、多くの都道府県で定めている「迷惑防止条例」違反として処罰される場合と、「強制わいせつ罪」(刑法176条)として処罰される場合があります。具体的には、次の点が判断基準になることが多いです。今コラムで扱う示談金の相場は、前者の迷惑行為防止条例違反の場合を前提にしています。

  • 迷惑行為防止条例違反(各都道府県)
    公共の場所や乗り物内での痴漢行為を規制している条例です。比較的軽微な痴漢行為(着衣の上からの軽度な触れ方など)は、この条例違反として検挙されるのが一般的です。条例違反の場合、初犯なら6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるケースが多く、再犯や常習の場合はより重い刑が規定されている地域もあります。
  • 不同意わいせつ罪(刑法176条)
    被害者の意思に反して、暴行・脅迫を用いてわいせつな行為をした場合などに適用される罪です。法定刑は6月以上10年以下の懲役と非常に重く、迷惑防止条例違反より刑罰の上限が高いのが特徴です。被害者を押さえつけたり、脅したりして痴漢行為に及んだなどの場合は、不同意わいせつ罪と判断されることがあります。

「着衣の上から」でも罪は成立するか

痴漢というと、スカートの中への直接的な触れや下着の上からの接触、または身体の内側を撫で回すような行為を想像しがちですが、着衣の上からの接触であっても十分に罪として成立します。被害者が「著しく羞恥させられた」「不安を覚えた」と感じれば、迷惑防止条例違反に該当する可能性が高いですし、暴行・脅迫に近い態様であれば不同意わいせつ罪として扱われるケースもあります。

痴漢事件の示談金が高額になる要因

前述のとおり、痴漢事件の示談金は10万円~50万円程度が一応の目安ですが、なかにはより高額の示談金を求められるケースがあります。以下に、その主な要因を挙げます。

被害者の精神的苦痛が大きい

痴漢の被害を受けた方が、**PTSD(心的外傷後ストレス障害)**のような心の傷を負ってしまった場合、慰謝料が高騰する可能性は大いにあります。公共交通機関や街中で痴漢を受けたことで、「外出するだけでも怖い」「電車に乗れない」「人混みに行けない」といった生活上の支障が生じることも少なくありません。

被害者が未成年・学生の場合

被害者が未成年や中高生などの場合、性被害へのショックが大きく、その後の成長過程に深刻な影響を与える可能性が高いとして、示談金が高額化することがあります。加えて、未成年被害者の場合、示談交渉の相手は保護者(親)が中心となりますが、保護者の処罰感情が強くなり、示談交渉自体が難航する場合も珍しくありません。

複数回・複数被害者がいる場合

同じ被害者に対して複数回痴漢行為を行ったり、常習的に複数の被害者へ痴漢を繰り返していた場合は、被害者一人ひとりとの示談が必要になります。当然、示談金の合計額は膨れ上がり、事件全体として悪質とみなされるため、処罰感情もさらに高まります。

暴行や脅迫を伴う、強制わいせつ的な行為

迷惑防止条例違反ではなく、刑法176条の不同意わいせつ罪として扱われるような悪質性の高い痴漢は、被害者の恐怖心や精神的ダメージが格段に大きいと評価されやすいです。その結果、示談金も高額になりやすく、また示談が成立しづらいという特徴があります。

痴漢事件で示談を成立させるためのポイント

痴漢事件の加害者が自力で被害者と連絡を取り、示談を図ろうとしても、被害者が面会を拒否するケースがほとんどです。精神的苦痛や怒り、恐怖心から「加害者と関わりたくない」という被害者の思いは当然ですし、そもそも警察や検察が被害者の連絡先を加害者本人に教えることもありません。したがって、痴漢事件における示談の鍵は弁護士の関与にかかっているといっても過言ではありません。

弁護士が示談交渉を行うメリット

  • 警察や検察を通じて被害者の連絡先を把握できる
    弁護士であれば、捜査機関から被害者の連絡先を提供してもらえる場合があります。加害者本人には通常開示されません。
  • 被害者が応じやすい
    加害者本人が直接謝罪や示談の話を持ちかけても拒否されるケースが多い一方、「弁護士を通じた交渉」であれば、被害者が話を聞いてくれる可能性は高まります。
  • 適切な金額設定ができる
    弁護士には、過去事例や相場感があります。法外な金額を請求されても交渉で適正額に落とし込んだり、あるいは逆に低すぎる提示にならないようにすることが可能です。

示談交渉をスムーズに進めるポイント

  • できるだけ早期に弁護士へ依頼する
    痴漢事件の場合、逮捕・勾留されたあとでも交渉は可能ですが、不起訴処分を得るためには起訴前に示談を成立させることが望ましいです。早期に弁護士と相談して、被害者との接触を図ってもらいましょう。
  • 誠実な対応を心がける
    たとえ弁護士を通じていても、加害者本人が反省の意思を示さないままでは、被害者の処罰感情が高く、示談が難航するおそれがあります。書面などで反省の気持ちを示すなど、誠実さを伝える努力が大切です。

痴漢事件で示談を成立させる加害者側のメリット

痴漢事件で示談が成立すると、加害者側には大きなメリットがあります。逮捕される前であれば逮捕自体を回避できる可能性がありますし、すでに逮捕・勾留されている場合であっても、不起訴や早期釈放に繋がるケースが多いからです。

逮捕や勾留を免れる可能性が高まる

痴漢行為は「被害者が許しているかどうか」すなわち被害感情の強さが捜査機関の判断に大きく影響します。示談が成立し、被害届が取り下げられたり、被害者が嘆願書を出してくれたりすると、そもそも逮捕を見送られたり、不起訴処分となることも期待できます。

起訴を回避し、前科を付けずに済む可能性が高まる

日本では、検察官が起訴をすると99%以上の確率で有罪判決が下されるのが現実です。痴漢事件においても、起訴されれば前科が付くリスクは極めて高いです。しかし、示談が成立していれば、検察官が「被害者が処罰を求めていない」「被害者が許している」と判断し、不起訴にするケースも多々あります。前科が付くことを避けたいなら、起訴前に示談成立を目指すことが重要です。

刑罰が軽くなる・執行猶予付き判決になる可能性

仮に起訴されてしまったとしても、裁判中に示談が成立すれば、裁判官の心証が良くなるため、執行猶予付きの判決になるなど、刑罰を軽減してもらえる可能性が高くなります。痴漢行為は強制わいせつ罪として扱われれば懲役刑のリスクがあり、迷惑防止条例違反でも懲役や罰金となる場合がありますが、示談が被告人に有利な情状として作用するため、実刑を回避できる例もあります。

痴漢事件で示談を成立させる被害者側のメリット

痴漢事件の示談には、被害者側にも無視できないメリットがあります。刑事事件では、加害者が処罰されても被害者が受け取れるのは「罰金」ではなく、あくまで国庫に納付されるため、被害者の手元にお金が入ることはありません。示談に応じることで、直接的な金銭的補償を受けられるほか、以下のような利点もあります。

示談金(慰謝料)を受け取れる

痴漢被害によって受けた精神的苦痛を金銭で完全に癒すことは難しいですが、示談金を受け取ることで区切りをつけられる可能性があります。また、刑事手続だけではなく、民事訴訟を起こすとなると時間や費用、労力がかかりますが、示談を通じて一括して解決できれば、被害者自身が余分な負担を負わずに済みます。

今後の接触禁止など、警告的な条件を付けられる

示談書には、単純な金銭のやり取りだけでなく、「今後は被害者に近づかない」「連絡を取らない」といった条件を設けることができます。万一、それに違反した場合は高額な違約金を支払う、という条項を盛り込むこともあり、被害者の不安を和らげる手段として有効です。

法廷での証言を回避できる

痴漢事件が公判まで進むと、被害者が証人として法廷で詳細に被害状況を語らなければならない場合があります。これは被害者にとって極めて辛い経験です。しかし、示談が成立し、不起訴や公判請求棄却となれば、被害者が証言台に立つ必要がなくなる可能性が高まります。

痴漢事件での示談交渉をスムーズに進めるために

痴漢事件の示談交渉は、加害者・被害者が直接顔を合わせにくい性質があるため、第三者である弁護士の存在が不可欠です。特に、刑事事件に強い弁護士であれば、被害者側が何を求めているのかを的確に把握したうえで、加害者側の反省の気持ちや誠意を適切に伝えることができます。結果として、互いに納得できる形で合意が成立しやすくなります。

  • 早期に相談するメリット
    逮捕前ならば逮捕を回避できる可能性、逮捕後でも勾留を避けたり、不起訴を獲得する可能性が高まります。また、被害者との連絡がスムーズに取れるうちに交渉を始められるため、示談の成功率が上がります。
  • 費用対効果の高さ
    弁護士費用は決して安くありませんが、前科を回避できることのメリットや、長期の刑事手続きを経る負担に比べれば、十分に投資する意義があります。示談交渉が早期にまとまれば、その後の人生や仕事への影響を最小限にとどめられるからです。

まとめ 痴漢事件の示談は専門知識を有する弁護士へ依頼しましょう

痴漢事件において示談を成立させることは、加害者側にとっては「逮捕・勾留の回避」「不起訴処分の獲得」「前科を付けない」「刑罰の軽減」といった大きなメリットがあり、一方で被害者側にとっても「金銭的補償の獲得」「接近禁止といった安全確保」「裁判での証言負担の軽減」といったメリットをもたらします。

もっとも、示談交渉は当事者同士では進めにくいものです。痴漢事件による精神的苦痛や怒り、恐怖心は非常に大きいため、被害者が加害者と直接やり取りすることを嫌がるのは当然でしょう。そこに弁護士が入ることで、事件の客観的な状況整理や適切な示談金の算定、両者が納得できる示談条項の提示などが可能になります。

痴漢事件の示談金(慰謝料)は、事案によって10万円~50万円程度を目安としつつ、場合によっては100万円を超えることもあります。示談金額を安易に低く見積もって被害者の怒りを増幅させたり、逆に被害者側から不当に高額な請求をされて受け入れてしまうと、のちのち不満が残る結果になりかねません。刑事事件に精通した弁護士に依頼すれば、過去の判例や類似事案の経験を踏まえ、より適正な示談金の額やスムーズな交渉を期待できるでしょう。

もし痴漢事件の疑いをかけられている、あるいはその加害者として逮捕されてしまった方は、一刻も早く刑事事件に強い弁護士への相談を検討してください。痴漢事件は、被害者との示談交渉が早ければ早いほど、有利な結果を得られる可能性が高まります。示談を成立させることで、前科を回避できるだけでなく、あなたの人生や家族・職場への影響を最小限に抑えることにも繋がるのです。

当事務所では、痴漢事件を含む刑事事件の示談交渉を数多く手掛けております。被害者との関係性や処罰感情、事件の詳細に合わせて最適な方針を立案し、早期の示談成立を目指したサポートを行います。痴漢事件でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。ご依頼者の状況を丁寧にヒアリングし、少しでも不安を取り除きながら、前科回避や不起訴処分獲得など最善の解決に向けて全力を尽くします。

刑事事件の弁護人選任を検討されている方の初回相談は無料【24時間受付】弁護士が対応可能な場合はそのまま直通で無料電話相談が可能です

刑事事件はスピードが重要!今すぐ無料相談